事業承継サービスが活発化する根底には、黒字でも廃業せざるを得ないほど中小企業の引き継ぎが困難な事情がある。M&A(合併・買収)のニーズが高まっており、仲介会社の中には、買収後の統合作業(PMI)サービスの一環として企業同士の結婚式のようなイベントを催す例もある。

 国の試算によると、中小企業・小規模事業者のうち、経営者が2025年に交代期の70歳を超える企業が約245万社ある。このうち約半数に当たる127万社の後継者が未定であり、さらにその半数近い約60万社が黒字のまま休廃業・解散に追い込まれるおそれがある。

 新型コロナウイルス禍に襲われる中でもこの傾向は続いており、東京商工リサーチの21年「休廃業・解散企業動向調査」によると、56.5%割を超える企業が黒字にもかかわらず事業を閉じていた。

半数を超える企業が黒字にもかかわらず事業をやめている(写真=アフロ)
半数を超える企業が黒字にもかかわらず事業をやめている(写真=アフロ)

 中小企業の多くは一族が経営するファミリービジネスであり、後継者不足は少子化や社会環境の変化によって「親から子へ」の引き継ぎが難しくなってきた面もある。

 帝国データバンクの「全国企業『後継者不在率』動向調査」によると、同族承継の比率は緩やかながら下がり続けている。経営者の高齢化、そして一族内の後継者不在によって、休廃業・解散が進んでいる。危機感を持った中小企業庁は全国で「事業引継ぎ支援センター」を開設し、仲介役を担い始めた。経産省も10年間で60万社の第三者承継の成約を目指す。

21年のM&A、14.7%増加

 M&Aの仲介を手掛ける日本M&Aセンターの渡部恒郎取締役は「コロナ禍による事業環境の激変が重なり、事業を継続する手段としてM&Aを考える経営者が増えている」と話す。M&A助言のレコフ(東京・千代田)の調べによると、21年のM&Aの件数は20年に比べて14.7%増の4280件と過去最高の件数になった。事業承継にまつわるM&Aは過去10年で4倍以上に増加している。M&A仲介会社も増加しており、04年に100社だったM&A業務を営む会社は18年に300社を突破した。

 

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