事業承継に悩む会社が増える中、インターネット経由でM&A(合併・買収)の売り手と買い手がそれぞれ相手を探すマッチングサイトの利用が広がっている。1億円以上のM&Aのきっかけになるケースが増える一方、個人事業などを対象にした小規模な案件も急増する中、サービスの多様化が進んでいる。

 北海道札幌市でリサイクルを手掛ける鈴木商会は2021年7月、釧路市の解体業、木村工務店をM&Aによって子会社化した。買収金額は1億円を超えた。きっかけになったのがネット上でM&Aの仲介を行う、M&Aサクシードのマッチングサイト「ビズリーチ・サクシード」だ。

 M&Aサクシードは転職サイト、ビズリーチのビジョナルグループが展開している。担当者が案件を紹介するM&A仲介会社と違い、買い手企業が自ら譲渡案件の情報を見て、直接、買収候補の企業を選ぶ。

 「買い手企業のうち7割は経営層が自ら利用している。その分意思決定が速い強みがある」(M&Aサクシードの前田洋平ビズリーチ・サクシード事業部長)という。売り手企業も買い手企業も無料で登録できる。M&AサクシードはM&Aが成約した時点で取引金額の1.5~2.0%を成約料として買い手企業から受け取る仕組みだ。外資系コンサルタント会社出身で、鈴木商会のM&Aを担当する田中勝博常務は「売り手候補を探すプラットフォームとして活用した。ECサイトのような感覚でM&Aが実現できた」と話す。

鈴木商会のM&Aを担当する田中勝博常務(写真:船戸俊一)
鈴木商会のM&Aを担当する田中勝博常務(写真:船戸俊一)
鈴木商会がM&Aによって21年7月に子会社化した木村工務店
鈴木商会がM&Aによって21年7月に子会社化した木村工務店

 ビズリーチ・サクシードには、希望する業種やエリアを登録すると毎日のように案件情報が届くサービスがある。田中氏はこのサービスに登録後、メールをチェックし続けると同時に、自身でもシステムのネット検索機能を使って希望に合った売り手企業がないかを週1、2回のペースで検索。浮上したのが社員25人で後継者がいない木村工務店だった。「ピンときた」という田中氏はシステムを経由してすぐに木村工務店にコンタクト。その後はほぼビズリーチ・サクシードを介さず、直接の話し合いで案件をまとめた。

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