後継者のいない中小企業に対して「サーチファンド」という後継者探しと投資リターンの両立を図る手法が広がり始めている。2月には野村ホールディングス(HD)も参入し、国内で最大規模の事業承継ファンドがスタートした。海外の研究から収益性に注目する声もあり、非上場企業を対象にした投資手法の1つとして国内でも本格的に展開する時期を迎えつつある。

 サーチファンドでは、後継者がいない中小企業の経営を「サーチャー」と呼ばれる外部人材が引き継ぎ、株式をファンドが買い取る。サーチャーが経営者となって収益力を高めた5~7年ほど後をめどにファンドは他社に株式を売却して収益を上げる仕組みだ。

 プライベートエクイティ(PE=未公開株)ファンドの1種であり、経営者を志望する若者と後継者がいない企業を結び付ける新しい事業承継モデルとして1980年代に米国で誕生。米国には現在400ほどのサーチファンドがあり、サーチャーはビジネススクールの卒業生のキャリアの1つとして根付いている。投資家も増加しており、米国以外でもスペインを中心とした欧州などに広がっている。

 国内での導入に大きな役割を果たしてきたのが、サーチャーの支援、育成などを手掛けるジャパン・サーチファンド・アクセラレーター(JaSFA、東京・中央)だ。外資系コンサルタント会社出身の嶋津紀子氏が米国留学中にサーチファンドの存在を知り、帰国後の2018年に立ち上げた。「地方を中心とした後継者不足という社会課題をファンドを通じて解決する点に魅力を感じた」と嶋津氏は話す。

ジャパン・サーチファンド・アクセラレーターの嶋津紀子氏
ジャパン・サーチファンド・アクセラレーターの嶋津紀子氏

人生をかけて取り組む

 海外のビジネススクールの研究によると、サーチファンドはベンチャーファンドなどに比べると収益性が高いというデータがある。理由について嶋津氏は「サーチャーは自分の人生をかけて取り組む分コミットメントが強いし、小さな会社はマネジメントが十分でない場合もあり、その分磨く余地もあるからではないか」と話す。

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