日本証券金融は2月7日、大株主の投資ファンド・ストラテジックキャピタル(東京・渋谷)の請求に応じ、臨時株主総会を開く。同社は「上場以来、日証金の歴代社長は日本銀行OBだ」として、「天下り」の実態調査を行う弁護士選任を株主提案した。旧村上ファンドに参画していた丸木強代表が率いるストラテジックキャピタルはアクティビスト(物言う株主)を自認する数少ない存在だが、実は過去の株主提案はほとんど否決されている。それが今回は、「勝ちたい」と委任状争奪戦に熱が入っている。なぜ、日証金にこだわるのだろうか。

日本証券金融は、金融商品取引法に基づく免許を受けた証券金融の専門会社だ。その本業は、信用取引のインフラとしての役割を担っている。信用取引とは、投資家が証券会社に保証金を差し入れ、証券会社から株式や資金を借りて株式を売買することを指す。持ってない株を売る「空売り」や、手元資金の範囲を超えたレバレッジが効いた取引が可能となる。信用取引の利用の9割は個人投資家で、個人投資家の売買のうち、信用取引が半分以上を占めている。
信用取引には、一般信用取引と制度信用取引がある。一般信用取引は、証券会社と投資家の間で取引条件を決める。一方、制度信用取引は返済期限が最長6カ月、取引所が品貸し料を決めるなどルールが定められている。制度信用取引を実施する証券会社に、株券や資金を貸す「貸借取引」を手掛けるのが日証金だ。
戦後、証券市場の発達が十分でない頃、証券会社に資金や株を貸し付ける専業会社が必要だと考えられ、証券金融会社がもうけられた。これまでに再編が進み、免許を持つ証券金融会社は日証金のみとなっている。
「東芝モデル」で天下りの調査を要求
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