日本の半導体産業が弱体化する中、世界における日本の位置づけを提言してきた東京エレクトロン元社長の東哲郎氏。現在は半導体とデジタル産業の戦略を検討する経済産業省の会議で座長を務める。米中の対立が激化する中、デジタル社会に欠かせない半導体を確保するために日本が取るべき道とは。

(聞き手は 本誌編集長 磯貝 高行)

東 哲郎(ひがし・てつろう)氏
経済産業省半導体・デジタル産業戦略検討会議座長。東京エレクトロン元社長。1949年8月28日生まれ。77年都立大院修了、東京エレクトロン入社。半導体製造装置の事業拡大に貢献して96年に46歳で社長に就任した。国際人脈を築いて同社を世界有数の半導体製造装置メーカーに飛躍させた。2003年会長、13年に兼務する形で社長に復帰。16年に相談役となり、19年に会社の役職から完全に退いた。経済産業省の半導体・デジタル産業戦略検討会議で座長を務める。(写真:加藤 康、以下同)

半導体が米中技術覇権争いの主戦場になっています。国際的な戦略物資としてより重要になってきた一方、国内半導体産業の競争力回復が課題になっています。世界における日本の半導体シェアは1980年代後半の約5割から現状は約1割にまで低下しました。

東哲郎氏(以下、東氏):そうですね。80年代に日本が半導体産業を強化し、92年くらいまで世界シェアは首位でした。しかしピークからどんどんシェアが落ちる中、日本は半導体に関しては外から買えばいいではないか、という姿勢が目立つようになってしまった。

 半導体を多く扱う情報通信産業ですらそんな姿勢だったこともあってか、国がソフトウエア強化に力を入れるようになりました。私は「これではまずい」とずっといろいろ主張していました。ここにきてやっとです。

ようやく変わってきましたか。

東氏:ITやAI(人工知能)、ビッグデータの利用促進でデータ量が爆発的に増え、半導体の重要性が高まりました。ほとんどの産業がデジタル化をしていかないと産業競争力を維持できない時代になったということでしょう。

 また生活様式が大きく変わった。みなさん、スマートフォンを手放せませんよね。もう消費者は半導体なしではやっていけません。半導体は「産業のコメ」から「生活のコメ」になったと言えるでしょう。

半導体強化へ、今までにない国の本気度

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