企業が脱炭素時代を生き抜くには、経営トップが目指すべき長期目標を明らかにし、それを実現するためのマネジメントの仕組みを構築することが不可欠だ。日立製作所はこの点で先を行く。

 2020年5月末、日立グループの各事業所はどよめいていた。中期経営計画の進捗発表に際し、東原敏昭執行役会長兼執行役社長兼CEO(最高経営責任者)が脱炭素目標の大幅強化を表明したからだ。

日立製作所の東原敏昭執行役会長兼執行役社長兼CEO(最高経営責任者)は20年5月、30年度までに炭素中立を達成すると宣言した

 日立は16年に、バリューチェーン全体のCO2排出量を、30年度までに10年度比で50%削減する野心的な経営目標を掲げた。そしてこの日、東原氏が打ち出したのは「2030年度カーボンニュートラル宣言」。30年度までに自社の生産活動で炭素中立を実現すると公約したのだ。「日立は環境価値をリードする会社へと変革していきたい」と力を込めた。

役員の報酬も脱炭素連動に

 あるべき将来の姿を見据えて高い目標をまず掲げた上で、そこに到達することを前提に様々な策を講じる「バックキャスティング」型の経営を強化した。

 東原氏は、投資家と対話する中で、炭素中立の早期実現に対する要望が日増しに強まっていることをひしひしと感じたという。50年炭素中立に向けてすべての企業が対応を迫られる。であれば、脱炭素競争を戦うグローバル企業として先行すべしと判断した。社内も驚く高い目標設定は、「社長のトップダウンでなければ進まなかった」。サステナビリティ推進本部環境部の久保勉部長代理は、こう振り返る。

 省エネ関連で600億円、再生可能エネルギーなどの創エネ関連で240億円を投じ、電力消費量を22%以上、CO2排出量を24%以上削減。さらに、再エネを地域別に一括購入することで炭素中立を実現する。

続きを読む 2/3 炭素価格を投資判断に算入

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