世界で炭素に価格を付けるカーボンプライシングが本格化しつつある。日本でも炭素税や排出量取引の導入をめぐって議論が進むなか、「再生可能エネルギーの普及には重要」とみるのが東京電力パワーグリッドの岡本浩副社長だ。
東電グループの送配電を担う同社で、電気工学のスペシャリストとして活躍し、需給構造にも精通している。今後どういった対策が求められるのか話を聞いた。
![<span class="fontBold">岡本浩[おかもと・ひろし]氏</span><br>1965年生まれ。東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻、博士課程修了。93年に東京電力入社。電力系統に関わる技術開発や実務を担い、同社の常務執行役を経て2017年から東京電力パワーグリッド副社長に。日本科学技術振興財団理事、国際大電力システム会議(CIGRE)本部執行委員なども務める。](https://cdn-business.nikkei.com/atcl/gen/19/00302/052800003/p1.jpg?__scale=w:500,h:350&_sh=0e303307c0)
1965年生まれ。東京大学大学院工学系研究科電気工学専攻、博士課程修了。93年に東京電力入社。電力系統に関わる技術開発や実務を担い、同社の常務執行役を経て2017年から東京電力パワーグリッド副社長に。日本科学技術振興財団理事、国際大電力システム会議(CIGRE)本部執行委員なども務める。
どのエネルギーでも負担を
炭素の価格付けが検討されていますが、電力会社の経営にとってどのような制度設計が必要でしょうか。
カーボンプライシング(CP)の導入は、どのエネルギーを消費する場合でも脱炭素への負担を請け負うという視点が欠かせない。
例えば現在、特別措置法に基づいて再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が実施されている。この制度では電気を使うお客様のみから、賦課金というサーチャージを集めて買い取り費用に充てている。ところがエネルギーは(ガスや灯油など)電気以外のものもある。電気代だけ上がっていく仕組みだと、二酸化炭素を出さない電源や水素社会へのシフトが進みづらくなる。
FIT以外にも石油石炭税など環境対策での費用負担はかかっているものの、温暖化ガス1トンを減らすのにいくら必要なのか、改めて「見える化」する必要がある。その上で、究極の政策として(CPへの統合により)1本に集約できるかもしれない。
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