菅首相が日本の温暖化ガス排出量を2030年までに13年比46%削減、50%を目指すと国際公約した。本当に可能か、採算が合わないなど議論百出だが、世界は脱炭素を前提とした未来の均衡点に向けて走り出している。国が示す数字の帳尻合わせより、国際競争下で実行あるのみ。企業は、何ができるのか、何を実現すべきなのか、「地球市民」として何を価値観とすべきなのか。エネルギーを巡る革新を中心に、先進企業の取り組みをつぶさに追う。(写真:zhongguo / Getty Images)
シリーズ
企業が挑む、エネルギー維新

全10回
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#1
太陽光の電力どんと引き受けます、東京製鉄が異例の日中操業
太陽光発電の弱点を克服しようと、電炉大手の東京製鉄と九州電力がタッグを組んでいる。東京製鉄はこれまで夜間操業が主力だったが、昼にも工場を動かして電力需給をマッチング。環境対応につながる方法で、ライバルの高炉大手にも対抗す…
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#2
イオンの再エネ100%大型店、背中を押す「もの言う消費者」
イオンが再生可能エネルギーだけで運営するショッピングセンターを急拡大する計画を発表した。広大な敷地や建屋を利用して太陽光パネルを導入する「創エネ」や商圏内の再エネを囲い込む新戦略を拡大。脱炭素にまい進する背景には、環境に…
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#3
「電力以外のエネルギーも、再エネ賦課金の負担を」東電幹部
炭素税や排出量取引の導入をめぐって議論が進むなか、「再生可能エネルギーの普及には重要」とみるのが東京電力パワーグリッドの岡本浩副社長だ。東電グループの送配電を担う同社で、電気工学のスペシャリストとして活躍し、需給構造にも…
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#4
脱炭素で突き抜ける、イケアはここまでやっている
欧州では再エネのインフラがあるため、電力需要家もその活用に積極的だ。電力を全て再エネで賄うことを目指す国際的な企業連合「RE100」は、欧州企業が主導している。その代表格がスウェーデンの家具大手イケアだ。
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#5
遠隔地の再エネ活用に新手、京セラが取り組む「自己託送」とは
京セラは遠くの空き地もフル活用しながら蓄電池で出力調整する「自己託送」モデルを確立する。この実証実験を1年前から始めており、近い将来にサービスとして売り出す計画だ。
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#6
小泉環境大臣「炭素に価格づけしないと日本の雇用も危なくなる」
政府の金融支援から企業同士の取引まで、温暖化ガス排出の多寡が問われ始めた。急速なシフトの背景には、2050年の脱炭素に向けた先進各国の動きがある。これから対応していくビジネスについて、国はどう後押ししていくのか。小泉進次…
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#7
どうせやるならトップランナー、日立30年度に炭素中立
日立製作所が30年度にカーボンニュートラル(炭素中立)を実現すると宣言した。社内も驚いたトップダウンの目標を実現するために、脱炭素時代のマネジメントに挑戦している。
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従業員の希望に応じて70歳まで働く場を確保することを企業の努力義務として定めた、改正高齢者雇用安定法が2021年…
全8回