新型コロナウイルス感染の「第5波」を越え、感染者数や死者数が急減した日本。社会は少しずつ、コロナ前の日常を取り戻そうと動き始めた。ところが、南アフリカなどで見つかった変異型を世界保健機関(WHO)が「オミクロン」と名付けて最も高い警戒レベルに指定するなど、再び感染が拡大する火種はあちこちに転がっている。

 コロナの「第6波」にどう備えるべきかを探る本特集「壊れない医療への道」。第4回となる今回は、新型コロナ感染症の治療薬やワクチンの開発に力を入れる塩野義製薬の手代木功社長に、現在の開発状況や行政の課題について聞いた。

■掲載予定
(1) 緩む社会、あちこちに「3密」 コロナ感染防止と日常回復のはざま
(2) クラスター散発する北海道の苦悩、神経すり減らす自治体や施設
(3) 飲み薬に国産ワクチン、そろってきた対コロナの矛と盾
(4) 「次のパンデミックへの備えを日本製で」 塩野義製薬・手代木社長(今回)
(5) 日本のワクチン業界のあるべき姿とは、製薬企業に聞く
(6) 厚生労働相が語る「第6波対策」の根幹
(7) 強い医療はこうつくる

※内容は予告なく変更する場合があります

<span class="fontBold">手代木功(てしろぎ・いさお)氏<br />塩野義製薬社長</span><br />1959年宮城県生まれ。82年東京大学薬学部卒業、塩野義製薬入社。2002年取締役、06年専務執行役員、08年社長。新薬メーカーの業界団体である日本製薬工業協会の会長や、製薬関連の業界団体の連合会である日本製薬団体連合会の会長を歴任した。(写真:小林 淳)
手代木功(てしろぎ・いさお)氏
塩野義製薬社長

1959年宮城県生まれ。82年東京大学薬学部卒業、塩野義製薬入社。2002年取締役、06年専務執行役員、08年社長。新薬メーカーの業界団体である日本製薬工業協会の会長や、製薬関連の業界団体の連合会である日本製薬団体連合会の会長を歴任した。(写真:小林 淳)

新型コロナウイルス感染症に有効な経口薬の開発を進めています。

手代木功・塩野義製薬社長(以下、手代木氏):創薬史上最速に近いペースで取り組んでいるところです。ただ、日本での感染が激減したので、韓国とシンガポールでも試験を行うことにしました。こちらも現地の会社や当局の協力を得て、記録的なスピードで開始できる見込みです。

 これには、良かった面もあると考えています。今後、先進国でワクチンの2回接種が7割、8割まで進んでくると、「重症化しないし死亡も減ったので何もしないでいい」との考えが出てくるかもしれません。でもブレークスルー感染で発症はするし、他人にもうつします。だからワクチンの2回接種を受けた人に抗ウイルス薬を使った場合の安全性や有効性のデータを今のうちに取っておくと、将来、2回接種が標準になったときに役立つと思うのです。

 インフルエンザでは何年も前からワクチンを打っていますが、発症したら医療機関に行って検査を受けて、抗インフルエンザ薬を使って治療しますよね。マスクや手洗いはともかく、感染を恐れて行動制限をするようなことはありませんでした。そこに戻すには、何としても経口薬が必要だろうと。その思いで、去年から取り組んできました。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1690文字 / 全文2703文字

日経ビジネス電子版有料会員になると…

特集、人気コラムなどすべてのコンテンツが読み放題

ウェビナー【日経ビジネスLIVE】にも参加し放題

日経ビジネス最新号、10年分のバックナンバーが読み放題

この記事はシリーズ「新型コロナと闘う「医療最前線」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。