新型コロナウイルス感染の「第5波」を越え、感染者数や死者数が急激に減少した日本。社会は少しずつ、コロナ前の日常を取り戻そうと動き始めた。では、コロナ禍はもう終わったと考えていいのか。気を緩めると発生するクラスター(感染者集団)。自治体や施設は緊張を強いられている。
コロナの「第6波」にどう備えるべきかを探る本特集「壊れない医療への道」。第2回となる今回は、いち早く寒い時期が到来し、クラスターの散発を警戒する北海道の様子をリポートする。
■掲載予定
(1) 緩む社会、あちこちに「3密」 コロナ感染防止と日常回復のはざま
(2) クラスター散発する北海道の苦悩、神経すり減らす自治体や施設(今回)
(3) ワクチンと新治療薬はどうなる、開発・承認状況とその期待
(4) 日本の医薬品業界、ワクチン・治療薬とどう向き合うべきか
(5) 強い医療はこうつくる 地域編
(6) 強い医療はこうつくる 病院編
(7) 厚生労働相に聞く「第6波への備え」
※内容は予告なく変更する場合があります

「第5波の残りがくすぶっている」
北海道第2の都市、旭川市。市の保健所で新型コロナウイルス感染症対策担当を務める浅利豪部長は警戒心を緩めない。市では新型コロナのクラスター(感染者集団)が10月から11月上旬までに7件発生したのだ。
具体的な要因は判明していないものの、フィットネスクラブを起点とし、感染者が無自覚なまま繁華街に出向いたことで飲食店などに感染が広がったとされている。
「廃業も覚悟した」
このうちの1件となったスイミングスクールでは、10月中旬に職員や生徒ら8人の感染を確認した。スクールの代表を務める逢坂克幸氏は「感染発覚後は廃業も覚悟した」と胸の内を明かす。
それなりの感染予防対策は講じているつもりだった。毎回、施設に来た生徒や職員らに検温を実施。生徒向けの便りなどでは「発熱や鼻水の症状がある場合はスクールに来ないでください」とも呼びかけていた。屋内プールで湿度も高いため、「医療関係者からは比較的安全だと言われていた」(逢坂氏)。感染が見つかった際には驚きを禁じ得なかった。
クラスター発生後は、更衣室での密を避けるためにロッカーを1列ずつ空けて使うようにしたほか、観覧に来た保護者の席も1席ずつ空けている。「寒いですが換気にご理解ください」「観覧中の会話は慎んでください」といった注意喚起を促すポスターも掲示している。ただ、「これ以上の対策を取るのは現実的に難しい」と逢坂氏は吐露する。
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この記事はシリーズ「新型コロナと闘う「医療最前線」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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