この記事は日経メディカル Onlineに「手探りで構築した新型コロナ第5波の往診体制」として10月7日に掲載したものを日経ビジネス電子版に転載しています。

 東京都医師会からの要請を受け、医療法人悠翔会(東京都港区)では、8月11日の正午から、首都圏で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の自宅療養者を対象に往診を実施している。医師や看護師を公募し、400人近くのCOVID-19自宅療養者への往診に対応してきた同法人が、どのような診療体制を築き、どのようなルールで診療をしてきたか、同法人理事長の佐々木淳氏に聞いた。

 2021年8月、若年層を中心にCOVID-19の感染が急速に拡大。それに伴い重症者が急増したことで、首都圏のCOVID-19患者専用病床は満床となり、重症患者が入院できない状態が常態化した。この状況に対処するため、菅義偉前首相は8月2日、関係閣僚会議で「重症患者や重症化リスクの特に高い方には、確実に入院していただけるように必要な病床を確保する。それ以外の方は自宅での療養を基本とし、症状が悪くなればすぐに入院できる体制を整備する」と述べ、原則として自宅療養を基本とする方針への転換を表明した。

 医療法人悠翔会は、東京都医師会からの委託に基づき、23区を中心に医療支援が必要なCOVID-19自宅療養者への医療提供を担う取り組みを8月11日正午から開始した。医師会を中心とした地域の医療機関で対処できないケースを、往診やオンライン診療で支援する仕組みだ。「都内における在宅診療の診療実施範囲、規模を考えると、他に受託できる法人がないのは明白だった。採算は取れず、経営的には厳しい判断だったが、感染拡大の状況を災害医療と捉え、こぼれ落ちる命を1つでも少なくしたい思いから、依頼を受けた」と理事長の佐々木淳氏は受託理由を話す。

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