この記事は日経メディカル Onlineにコラム「谷口恭の『梅田のGPがどうしても伝えたいこと』」として8月11日に配信したものを再編集し、日経ビジネス電子版に転載しています。

 大阪では医療が逼迫(あるいは崩壊)している……、と言われたのがいわゆる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の第4波が起こっていた4月と5月だった。あの頃はCOVID-19を発症し症状が強くなっても空いている病床がほぼなくて、従来なら入院適応のある患者でも自宅待機を強いられることが少なくなかった。当院の患者では、高齢者や、HIVや糖尿病など基礎疾患のある患者は幸運なことに全員を入院させてもらえたが、若年者は療養型施設の入所さえ希望しても断られていた。

 第4波で最も困った症例は、ある20歳代の男性だった。高熱と倦怠感で当院の発熱外来を受診し、酸素飽和度はなんと80%。直ちに保健所に交渉して入院を強く要請しようと考えたが、意外にも呼吸苦はごく軽度。いわゆるhappy hypoxia(幸せな低酸素血症)だ。保健所の出した判断は「自宅待機」。そこで毎日当院から電話で様子をうかがうことにした。電話がつながらないときは「もしかして……」とヒヤヒヤした。幸いなことに、その後、徐々に酸素飽和度も回復して、事なきを得た。

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この記事はシリーズ「新型コロナと闘う「医療最前線」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。