:(会場運営の)追加契約も、高齢者接種から一般接種のフェーズに向けて必要になってきますから、フォズベリーさんにも当然、収益的なお考えもあるでしょうし、我々も公共契約の中でできること、できないことはあります。でも、最終目的を「1日も早く終わらせる」ということで合意していますから、そこでかみ合わせているわけですね。

―― そこなんですよね。でも、素人考えだとそれって当たり前……すみません、けなす意味じゃないんですが、でも、当たり前じゃないですか。「何でほかはそうならへんねん!」と思うんですけど。

:「すでに決まったことをルール通りしっかり執行する」という、自治体にとって当然の発想に立てば、目的を共有して臨機応変に、という対応にはなりにくいのです。

―― あ、そうか……。

:例えば自分のことで申しわけないんですけれど、公務員の規則に完全に従って、「朝9時~夕方5時の勤務時間しか電話に出ません、メールやLINEを返しません」とやっていたら、この連携は無理です。なぜなら医療従事者の方々は通常の診療をなさっていますからご連絡をいただくのは9時より前、5時より後が多くなるからです。医師会の皆様とのやりとりが活発に動くのは、朝の6時ぐらいからと、夕方5時以降零時ぐらいまで。それか土日、この辺のやりとりが、別々の組織が緊密に連携して動くために死活的に重要なんですよ。

 僕は頭が悪いので迷惑を掛けたりもしますけど、民間企業の方から見ると当たり前の、極めて経営的な発想で動かないと転がらないんです。

仕事相手の一軍を押さえろ!

―― つまりマニュアルがきっちりできているものをしっかり運用するということに特化した組織・人材なんですね、できる公務員さんというのは。もちろんそれは非常に重要なことで。

:私たち公務員にはとても厳しい言葉ですが、「訓練された無能」ってお聞きになったことありますか。

―― すごい言葉ですね(米国の社会学者マートンが述べた、大組織の官僚制が行動のパターン化を促し、ルールの過度な厳守によって環境変化に対応できなくなることを表す言葉)。

:効率的に仕事をするために官僚組織は分業制を採り、だからルールがある。官僚組織にいる人は、ルールにのっとって効率的に処理しようとします。その結果、ルール通りに処理する力はみんなあるけど、ルールのもとにある問題解決、環境変化への対応力が損なわれるという話なんです。特に福祉、健康の行政はそういう処理能力が磨かれる分野なので、今回の事態は、優秀な福祉行政員であればこそつらいと思いますね。

―― これまでの仕事として有能であればあるほど、明確な目標やら予定やらルールやらが立たない中では、立ちすくんでしまう。

:例えば、ビジネスの現場にいる方ならば、同じ会社の人でも、組織の中に「一軍」がいる、というのは分かっているじゃないですか。

―― ぶっちゃけ言えば、できる人とそれほどでもない人と……。

:自分も以前SEとして働いていた経験から、仕事を発注するならば、発注先のエース部隊を先に確保しないとまずい。そういう発想は自然に出るわけです。

―― なるほど。契約先の会社名というより、その会社の優秀なスタッフをいかに押さえるかだと。

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