堤:さらに、医師会や民間企業さんという、自律的に動いてくださる方たち同士をどう合わせるか、ということを考える必要がある。行政が(権限を)握って「この通りにやってください」という、あえて言えばよく行政がやる方式が通用しないんです。そういう意味でのコーディネートが大事だと。それも一方的なコーディネートじゃなくて双方コーディネートなんですよね、今やっていることは。
―― フォズベリーの桑原(裕)さんが言っていた「前向きなオーバーラップ」が発生するように、ですね。
堤:足りないピースを、地域が持つ資源、強みとどう組み合わせて乗り越えるかというのは、民間企業の方が日ごろされていることと、口幅ったい言い方ですが、近いと思うんですね。
―― ですよね。自分の組織や自社のリソースで足りないところを、他の組織や会社と組んでビジネスチャンスをつかむ。
この経験を乗り越えた自治体職員は強くなります
堤:そういう意味でも慣れていない仕事で苦しいんですけど、文化が違う組織同士の連携を、すごく気を使ってやらなきゃいけない。我々だけではもちろんなくて、医師会様も、薬剤師様もフォズベリー様も、それぞれの考えで強みを生かして提案をしてくれる。それは負担を掛けているということでもあります。接種場所が増えるからロジスティクスのほうにも負担が掛かる。分かりきっているんです。でも、そのおかげで得るものは大きいし、地域の財産として残るんですよね。「今、歩いている道を磨けばたどり着くのはそういうことなんだよ」という話を役所内部でも伝えながら、突き進んでいるという感じなんです。
―― 今後も感染症対策が続くとすれば「ワクチン接種の経験値と実績」が、自分が住むところを選ぶ際に利いてくる可能性はありますよね。
堤:そして、このワクチン接種の経験で育った世代が、課長とか部長とかになるころには、自治体は結構変わってくるんだと楽しみに思っています。
(次回に続きます。明日公開予定です)
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