西:一応今後もコロナの対応とかができるイベント会社ですとか、運営会社としてうちも一本立ちしていきたいところはあるので、そのための実績になればいい、と。

奥山:僕はもうこれで言いたいことは言いましたので(笑)、あとはみんなにお任せします。ありがとうございました。

―― お忙しいところありがとうございました。それで、小金井市と最初に接触したのはいつぐらいだったんですか。

桑原:メールと電話で打ち合わせが始まったのが1月の下旬ですね。担当の社員が小金井市に行ったのは2月中旬ぐらい。3月の初旬ぐらいにシミュレーションをしましょうという運びになって、僕はそこで初めて、医師会の三澤先生や市役所の方とお会いしました。

―― 前回、5月中旬のインタビューの際に、三澤先生はフォズベリーの担当者を激賞してました。2カ月ぐらいで現在の信頼関係を築けたということですか。

桑原:そうですね、それには……あ、一緒にやっている岡田が来ました。

岡田 陽平(以下、岡田):遅くなりました。

桑原:小金井市とゼロから信頼関係を築いたのはこの岡田です。

―― すごい営業マンなんですね。

岡田:とんでもございません。

桑原:どちらかというと、私も岡田も思うことをばんばん正直に言いすぎて、怒られることが多いです(笑)。

岡田:そうですね。あまり器用なことはできないと自分でも思っています。

―― それはすごいですね。衝突できるところがすごいです。

言いたいことを言いながら、いい感じでオーバーラップ

桑原:準備をしたこともありますが、小金井市の方、特に三澤先生とは言いたいことを言い合って、いい感じにお互いオーバーラップしながら。

―― いい感じのオーバーラップ、なるほど。自分の仕事の範囲から相手の範囲に「いい感じで」はみ出そうということですか。ちょっとマツダで聞いた話(「愛されるクルマと、『うまい!』と思わせる吹奏楽部の共通点」)が重なりますね。「いいクルマを造るには、部署にとらわれずみんなで悩まないと解決しないというのがもう分かってきている」のだそうです。桑原さんも岡田さんも、思わずオーバーラップしてしまうタイプですか。

桑原:そうですね。過去それで失敗したお仕事もいっぱいあります。

―― 余計なことに口を出すな、と。そんなリスクも知りつつ、スタートの時点では、どんなお話を。

桑原:それで言うと、岡田が営業に行ってきますというときに、前もって言っていたのは、「できないことはできない、分からないことは分からない」と、ちゃんと言いなさいと。

―― 大事ですね。

桑原:ベンチャーなので、ちょっと背伸びした仕事を取ってくるのが今まで正義だったんですけれども、今回できないことをできると言って、分からないことを分かると言ってしまったら、下手したら人命にかかわるかもしれない。だから、そういう態度では行くなと。もし聞かれて分からなかったら「勉強が足りませんでした、やりなおします」でいいから引き下がってこいと。奥山からも直々に「取れないリスクを取って、危ない橋を渡るようなことは絶対にしないように」と、僕を含めて徹底されていましたね。

―― 岡田さんもシミュレーションには参加されていたんですか。

岡田:しました。必要な武器は持たせてもらったという感じにはなっていました。

―― 営業はどんな感じで進んだんですか。

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