- その1→「町のお医者さんフル稼働、ワクチン接種『小金井メソッド』」
- その2→「ワクチン接種、全力で攻めてこそ医者も市民も救われる」
東京都・小金井市のワクチン接種現場リポート、第3回をお届けします。
同市で好調に推移しているワクチン接種について、「やっぱりやる気だと思いますよ、世の中は(笑)」と、三澤先生(小金井市医師会新型コロナワクチン担当理事の三澤多真子先生)に前回締めていただきましたが、コメントでもご意見を頂戴した通り、マネジメントの問題として捉えた場合、「個人の」能力、そしてやる気は必要条件であり、それ「だけ」でうまくいくはずはありません。
とはいえ、必要条件がなかったのでは話になりません。そして、三澤先生はじめ関わった人々のやる気が、どれほど小金井市のワクチン接種を前向きにスムーズに動かすのかを思い知って、前回はあえてそこをクローズアップさせていただいた次第です(なにより三澤先生がとても格好よかったこともありますが)。
それでは、ワクチン接種プロジェクトの参加者がやる気を持ち、それを維持し、結果を出すためには何が必要なのでしょうか。その手がかりを求めて、現場の運営を担当する会社の方のお話を伺いに行きました。今後、接種会場が急増していく際に出てくる問題を解決するための、手がかりが含まれているかもしれません。
―― よろしくお願いいたします。fosbury(フォズベリー)さんは、新型コロナウイルスワクチンの集団接種会場(以下、特記なき限りワクチンは新型コロナウイルスワクチンを指します)の運営を担当されている、ということで。
西 達郎 フォズベリー取締役(以下、西):はい、我々は業務の1つとして、イベント運営をプロデュースから計画策定、クリエイティブ、各種申請、全体管理、制作、そして運営までワンストップで行っているんです。今回は、ワクチン接種会場の運営で、東京都の小金井市さんからの発注を受けているわけです。
―― 小金井市はクライアントの一つということですね。
西:はい。集団接種の方針が示されたので、「当社にワクチン接種会場の運営をやらせてください」と営業をしまして。
―― あっ、そうか。改めて言うのも変ですが、企業にとってはコロナ禍も新しいビジネスの機会になるんですね。いや、こういう表現は大変誤解を招きやすいので、書いていいのか分からないのですが……。
コロナ禍という「ビジネスチャンス」
西:おっしゃる通りです。こんなことを言うと、どうしてもきれいな話に聞こえてしまうと思いますけど、いわゆる「火事場泥棒」にだけはなりたくない、なるべきではない、というのは最初に考えたところで、適正価格で世の中のためになるサービスを展開したいというのが今回のワクチン接種の仕事を取りにいった理由でして。
―― いくつくらいプロポーザルを出されたんですか。
西:一都三県(東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県)の3万人以上の市区町村は基本的に全て営業は、電話ですけど、ほぼほぼかけさせていただきました。
―― それで受注が取れたのは。
西:2つですね。
―― それは予想よりも少なかったですか。
西:少なかったですね。ただ、自治体から直に発注をいただいたのは2つですが、派遣会社の大手さんが受けて、そこから振っていただいたところは別にあります。
―― なるほど、自治体は普段お付き合いのある大手企業に相談して、そこからフォズベリーさんとか、小さな会社に振ってくるわけですね。というか、自治体からのお仕事は、普通はそういう流れなんですよね?
西:そうです。自治体は基本的に実績のあるところに(発注)するのが一般的だと思います。
―― でも、新型コロナウイルスワクチン接種の実績なんて……。
西:はい、それは全ての会社が初体験です。
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