「新型コロナ東京ルール」って知ってる?

 その一つは、新型コロナ用の病床の確保だろう。第3波の時点で4000床に増やすと小池百合子都知事が発言し、現場は対応に追われたが、その後も病床は増え続け、現在、約5500床となっている。これだけ病床が増え、かつ新規患者数も第3波ほど多くないことは搬送困難を減らすことに役立っているはずだ(一方で、COVID-19以外の患者がどうなっているのか気になるが……)。

 加えて、東京都には救急患者が迅速に医療を受けられるよう、地域の救急医療機関がお互いに協力・連携して救急患者を受け入れる、通称「救急医療の東京ルール」が存在する。まず、都外の読者もいると思うので、東京ルールを簡単に説明したい。

 都は、都内の医療圏域ごとに「地域救急医療センター」を整備し、この地域救急医療センターは、救急隊が5医療機関に要請、もしくは20分程度搬送先が決まらない場合に、救急隊と並行して、受入先の調整を行う。この地域救急医療センターによる調整でも患者受入が困難な場合は、東京消防庁に配置された「救急患者受入コーディネーター」が、東京都全域で調整を行うことになっている。

 すなわち、医療圏ごとになんとか救急搬送に対応する努力をした上で、それでも搬送先が見つからない場合は、都全域に対象を広げて搬送先を見つけるというもの。都全域で搬送先を探す必要があった場合、東京ルールの適用と呼ばれ、その数字を都内の救急医療の現状を示す一つの目安として評価している。

 さらに、この東京ルールには、COVID-19疑い患者に対する新しい取り決めも追加されている。

 それは、COVID-19が否定できない発熱患者に適用されるものとして、昨年6月から稼働している。具体的には「救急隊による5医療機関への受入要請、もしくは選定開始から20分以上経過しても搬送先医療機関が決定しない場合は、新型コロナ疑い地域救急医療センターが必ず受け入れる」というもの。この新型コロナ疑い地域救急医療センターに都内の24医療施設が指定されている。

 第3波のときの東京ルールの適用件数は最大で160件(2021年1月12日)で、今は1日当たり50件前後に減っている。コロナ病床が増えたことで、東京ルールがうまく回るという好循環が生じ始めたのではないだろうか。とはいえ、いまだに1日50件前後の搬送困難があることは忘れてはならないけど。

 そうそう最近、面白い話を教えてもらった。救急隊(全てではないが)は近隣病院の当直表を持っていて、その日の当直医が誰かということも搬送先選定の際の検討項目の一つにしているんだって(救急医の先生はご存じかもしれないけど、研修医の先生とか知らないのでは?)。「この先生はなんでもとってくれるから」とか「この先生はこの分野はとってくれるから」とか考えて電話してくるそうだ。

 「あの先生、当直引くからな~~」っていうのは、院内では嫌がられる(?)かもしれないけど、実は救急隊からの信頼の証であり、「あの先生は真摯に対応してくれるから」の裏返しだったのだ。緊急事態宣言によって東京は夜8時には店がしまる。早く懐かしい話もリアルに会って話したいな~。「早くあなたに逢いたい、早くあなたに逢いたい、トーキョーは夜の八時」。

三浦和裕(みうら かずひろ)氏
三浦医院院長
2004年帝京大卒。東京警察病院、聖マリアンナ医科大などを経て、2012年より現職。2017年より品川区医師会理事。日本プライマリ・ケア連合学会認定医、日本外科学会認定登録医、がん治療認定医。

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