―― 基本型を担うと名乗り出たわけですか。配送されてくるワクチンを受け取って冷凍保管して、連携型に分配するわけですよね。すっごい手間がかかりそうですが。

三澤:はい、かなり大変ですね(笑)。

医師会と自治体が、言いたいことを言い合える

―― 小金井市の場合は医師会と行政との連携がしっかりしているのが強みだということですが、具体的にはどんなことでその「連携の強さ」を感じますか?

三澤:小金井市の新型コロナワクチン対策チームには、行政、医師会、薬剤師会、訪問看護連絡会それぞれの団体のトップを含めた幹部が参加しています。課題があれば都度電話やメールで相談しているので、会議のときには「何が課題か」の共有だけでなく、解決に向けたある程度の方向性もお互い分かっています。それを踏まえて、会議の場では細かいところまで詰めた議論をして対応を決定していくので、確実に前に進んでいくことができます。

―― 官僚組織と業界団体が……そんなことができるんだ。

三澤:新型コロナワクチン事業については今年1月から約2週間ごとにチームでミーティングをしています。コロナ以前から多職種連携で「腹を割った話し合い」をしているので、お互い気を使って言いたいことも言えない、などということはもうありません。例えばですが、あまりに非現実的な提案を行政が持ち出してきた場合は、その場ではっきりお断りすることもあります。逆に行政が医師会に、それは無理だと言うこともあります。ただしどんな場合でも、それがマイナス方向にならないよう、必ず代替案を出して、実現可能な方法を模索します。

―― なるほど。

三澤:互いに忌憚(きたん)のない意見を出し合って前向きな議論をし、目標を実現させようとする関係性があるからこそ、医師会の先生方も積極的に協力していると思います。信頼関係ですね。

 医師会に所属する医療機関は73ありますが、そのうち45の医療機関が高齢者の接種施設となっています。実に62%です。ご自分の診療所で接種ができない先生も、集団接種の執務に積極的に出てくださって、「この日は誰か行けますか」と聞けば、埋まらないということがありません。

―― へえ。皆さん手を挙げる。

三澤:集団接種は各日2人が定員ですが、10人以上応募してくださっている日もあります。これなら一般接種のフェーズになって、集団接種の列を増やす場合も問題ないと思います。我々もさらに経験値が上がって、さらに効率よく接種できるようになっているでしょうし。

 看護師は訪問看護連絡会という、小金井市の訪問看護の事業所を取りまとめている方にお願いして協力していただき、先ほども触れましたが薬剤(ワクチン)の充填は薬剤師会がやってくださっています。

―― ううーん、要するに、接種が進むかどうかは「医師会をはじめとする関係者がやる気になっているかどうか」だ、という話なんですね、これは。

三澤:そうですね。自治体と医師会、薬剤師会、看護師、その他のスタッフ、集団会場の運営業者さんやコールセンター、そういう関係者が「1日でも早く接種を完了する」という目標を共有していて「やる気」がある。だからできるのだと思います。

―― 仕組みがどうのという前の問題として、それがありますね。

三澤:はい。

(その2に続きます。明日公開予定です)

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