―― なるほど確かに。ただそれだとお医者さんと看護師さんはずっと立ちっぱなし、というか、接種希望者が多いときはずっと歩き回ることになりますね。
三澤:なりますけれど、それで1日でも早く接種が終わるならやる価値はあります。
―― そういう工夫をして集団接種時の接種数を増やしている。
三澤:あと、集団接種の打ち手は、今は看護師がやっていますが、医師も打てば単純計算で現在の倍にできるわけです。
―― それはそうです。
三澤:どうしても予診より接種のほうが時間がかかるので、打ち手の看護師さん待ちの時間が生じるんです。被接種者はもう座って肩を出して待っています、だけど看護師さんが打ち終わらない、となる。だったら、医師も一緒に打とうと。医師が予診して看護師さんが打っている、その間に次の人に医師が予診して、看護師さんの手が空かなければ自分で打つ。そうしたら少なくとも1.5倍は打てるね、という話をしています。
―― すごい。プラスアルファが稼げるということですね。
三澤:今度の日曜日、私がまた集団接種の執務なので、そのときその方法を試してみようと思っています。
―― 三澤先生、ちゃんと休めています?
三澤:まあ、大丈夫です(笑)。
―― 週のうち1日は何もしない日、とかは……なさそうですね。
三澤:正直に言えばずっと休みがなくて体力的にきついときもありますけど、今はもう少々のことは言っていられないので。小金井市医師会として「1日でも早く、希望者へのワクチン接種を終わらせる」という目標を共有して、頑張っているところです。
医師会、自治体、関係者にやる気があれば
―― どうして小金井市のお医者さんはこんなにやる気満々なんですか。
三澤:そんなに特殊なことはやってないんですよね。
―― とはいえ、早い段階から、これはもう一致してワクチン接種に当たろうよ、と。
三澤:それはもう。
―― 旗を振ったのは率直に言って三澤先生なんですか。
三澤:これは小金井市医師会と行政、皆で一致団結して進めてきたことです。第1波のときから医師会と行政の二人三脚で対策を進めてきました。ワクチン事業は自治体主導となっていますが、医師会も最初から当然のこととして主体的にかかわっています。そして、薬剤師会や訪問看護の方々も積極的に協力してくださっています。
―― なぜそれができたのでしょうか。
三澤:それはきっと、もともと熱い人が多いんですよ(笑)。医師会について言えば「地域医療を守るのは自分たちだ」という自負があり、理事会が率先する形でコロナ対策、ワクチン事業を進めています。行政側も市長が「コロナ対策、ワクチン事業が最優先だ」と明言してくださっています。市長を筆頭に行政の幹部の方々が自ら現場に足を運んでくださったり、交渉ごとにも積極的に動いてくださったりするので、話が進めやすくてとてもありがたいです。
そうそう、「基本型接種施設」と「連携型接種施設」って、ご存じですか?
―― えーと、ワクチンは冷凍されて基本型に送られてきて、そこで小分けして連携型(医療関係者向け接種を行う施設。高齢者、一般住民向けの場合は「サテライト型接種施設」と呼ばれる)に送られるんでしたっけ。
三澤:そうです。基本型にはファイザーから直接ワクチンが配送されてきます。「ディープフリーザー」というー75℃で保存できる冷凍庫を持つ必要があって、これは国が用意するんですけれど、小金井市は病院に1つだけくることになっていました。でも、それでは足りないのが明らかだったので、当院ともう一つの診療所が手を挙げて、自前でディープフリーザーを購入しました。
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