この記事は日経メディカル Onlineにコラム「谷口恭の『梅田のGPがどうしても伝えたいこと』」として1月24日に配信したものを再編集し、日経ビジネス電子版に転載しています。

(写真:PIXTA)
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 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の検査拒否が増えている。もっとも、この問題は以前から存在し、一度取り上げたことがある(日経メディカルOnlineの関連記事:新型コロナ、患者に検査を拒否させる要因は?)。

 最近は、検査拒否どころか、「先週、発熱と咳があってコロナかと思ったんですけど、検査受けたらややこしいことになるでしょ。だから家から出ないようにして休んでたんです。そしたら治りました」と平然と言う患者もいるほどだ。この患者の言うように、現在SARS-CoV-2の検査が「ややこしいこと」になるのは患者目線からすると事実だ。今回は、まず、検査を勧めても拒否する者が多いことを確認し、なぜ検査が「ややこしいこと」になり、我々医師は検査を拒否する患者にどのように対応すべきかについて私見を述べたい。

 つい最近経験した検査拒否の事例を紹介しよう(ただしプライバシー確保のため詳細はアレンジしている)。

【症例】当院をかかりつけにしている飲食店勤務の20歳代男性

 38℃台の発熱と咽頭痛があるとのことでメールで相談が届いた。翌日の発熱外来を勧め、受診に至った。他覚的に重症感はなく呼吸苦もないが酸素飽和度は92~93%。「コロナの可能性が高いです。無料検査をしましょう」と勧めたところ、「陽性だったらどうなるんですか?」と問われた。「保健所にあなたの名前や住所を連絡せねばなりません。今後どうなるかについては、保健所の判断になりますが、現在オミクロン株が流行っているので、場合によっては入院を強制されるかもしれません。また濃厚接触者がいないかどうか聞かれます」と答えると、「それは困ります。職場には迷惑をかけられません。それに1週間後には大切な検定試験があるんです」とのこと。結局、検査は行わず当院が毎日電話で様子を伺うことにした。

 その後、発熱は2日後にはなくなり、呼吸器症状は結局表れないままだった。しかし、確証はできないがこの患者が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、さらに流行状況からオミクロン株であった可能性は高いだろう。なお、当院ではデルタ株も含めて2021年秋以降は酸素飽和度が下がらない事例が(なぜか)多いのだが、本症例は上述のように低下していた。

 この男性、仕事は飲食店でのアルバイトで日々大勢の客や従業員と接している。繰り返し尋ねたが、その飲食店でのCOVID-19陽性の事例はないと言う。だが、この男性は一人暮らしで、アパートと職場を自転車で往復しており、食事は職場でのまかないか自宅でのコンビニ食のみだと言う。職場以外での感染はまず考えられない。

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この記事はシリーズ「新型コロナと闘う「医療最前線」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。