危機感のない管理職に納得できなかった

榊氏:小林さんのプレゼンに出てきた「チャレンジするか、しないかが大切だ」という点についてですが、小林さんは何がチャレンジの原動力になったのでしょう。

小林:僕がホテルや旅館にアメニティーの営業をしていたのは2000年代前半で、「失われた20年」のど真ん中でした。経済状況が最悪だったこの時期、温泉地の旅館は次々に倒産しました。一生懸命営業をして思い切って買ってくれたのに、倒産してしまったこともあります。納品したもののお金をいただいていないお客さんのところには、商品を回収しに行かなくてはなりません。道中、そのホテルの社長が「お客様に喜んでもらうために、ポーラのアメニティーを入れてみよう」と言ってくれたことを思い出し、涙したりもしました。

 僕がそんな思いをしていた一方、当時の会社には危機感のない管理職がいっぱいいました。年功序列でポジションに就いたような人たちです。20代と若く、自分なりに一生懸命頑張っていた僕は、そんな状況が許せず、自分が意思決定できる立場になって、お客さんへの価値提供をしたいと思いました。それが、「オレがやるんだ」とチャレンジする原動力の1つになりました。

榊氏:強烈な原体験ですね。敏感肌の方に向けた社内ベンチャーを立ち上げたのはどういう経緯からですか。

小林氏:研究員だった同期が敏感肌に、とても良い技術を発見したのがきっかけです。これを世に出そうと社内ベンチャーを立ち上げ、僕はマーケティングやビジネスデベロップメント側になって一緒にやることになりました。

 ここで榊さんに聞きたいです。なぜ一休の経営に関わることになったのですか。

榊氏:戦略コンサルタントとして10年働きましたが、どんなに戦略を理解しても、それを実行できずにつまずく企業が多いことに気づき、組織のオペレーションを動かすことに興味を持つようになりました。一休と出合ったのはその頃です。一休との付き合いは10年になりますが、まだまだ伸ばせる余地がある会社なので、頑張りたいです。

小林氏:僕がコミュニケーションを取らせてもらう経営者の中で、顧客視点を最も大事にしているのが榊さんです。とても参考にさせてもらっています。

榊氏:我々が手掛けるトラベル事業は、売っている商品はどこの会社も同じです。差別化できる要素は売り方だけ。顧客視点の感度を敏感にしないと事業は死んでしまいます。その感度を今以上にとがらせようと思っています。

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