
ビジネスパーソンとしてどう成長していくか――。特に若い世代には大きな関心事です。では、注目を集める成長企業の経営者は、30代までに何を学び、どんな経験を積んできたのでしょうか。本インタビューシリーズでは、若手ビジネスパーソンにも知られる起業家・経営者に「自分のいまを形づくった若い頃の経験、努力、失敗」などを振り返っていただきます。また、本シリーズと連動して日経ビジネスでは、若手読者向けにこうした起業家・経営者の経験やビジネススキルをオンラインで学ぶ日経ビジネスLIVEを展開しています(8月31日、9月14日開催予定、日経ビジネス電子版有料読者は受講料無料です)。ウェビナーの日時・プログラムの詳細はこちらをご覧ください。
コンビニエンスストアやカフェなどで使える電子チケットを贈る「eギフト」サービスを手がけるギフティ。2019年の東証マザーズ上場からわずか1年で東証1部に昇格し、時価総額も800億円前後まで伸ばした。25歳で起業した太田睦代表取締役に、壁にぶつかりながらも会社を成長させてきた秘訣を聞いた。

ギフティ代表取締役
1984年生まれ。2007年に慶応義塾大学総合政策学部卒業、アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズ(現アクセンチュア)入社。ソフトウエアエンジニアとして官公庁の大規模開発業務にあたる。10年にギフティを設立。21年3月からは、完全子会社で体験ギフト企画・販売のソウ・エクスペリエンス社外取締役も務める。
起業したいという思いはもともと強かったのですか。
太田睦ギフティ代表取締役(以下、太田氏):大学1~2年生のときは起業を全く意識せず、学生生活を謳歌していました。大学3年生の就職活動でいろいろな会社の説明会を回りましたが、ここだと思える会社が見つかりませんでした。終身雇用か、会社を転々としながらキャリアアップしていくのか。その狭間の世代の僕にとって、自分の人生を預けられるかどうか、という意識が強かったんですね。
そんなときにふと書店で目にとまったのが、シリコンバレーについて書かれた『ウェブ進化論』(梅田望夫著、ちくま新書)という本でした。それまではお金を稼ぐために会社があると思っていましたが、(米グーグルや米アップルなど)GAFAなどにとっては収益より先に、社会のためにどんな価値を提供していくかがある。価値提供がきちんとできればそれに見合うリターンとして収益が得られる。そうした考え方に感銘を受けました。
自分は世の中に対してどんな価値が提供できるだろうか。そう考える中で、起業も選択肢の一つとして意識し始めました。幼い頃から最新の家電や電子機器、IT(情報技術)に触れる機会が多く、テクノロジーで世の中がちょっとずつ便利になる感覚がすごく好きだったんです。なので、もし起業するならIT系かなと。ITの仕組みについて知っておこうと思い、ソフトウエアエンジニアとしてアクセンチュアに入社しました。
もう一歩踏み込んだコミュニケーション
入社後は起業に向けてどのような行動を取っていたのですか。
太田氏:入社2年目のとき、私が尊敬していた起業家の西村琢さん(ソウ・エクスペリエンス代表取締役)の起業塾に参加してみたんです。実際に起業した方の貴重なお話を聴けたほか、参加者がアイデアを「ピッチ」できる機会もありました。そこで浮かんできたアイデアが、ギフティの事業でした。
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