自分が苦手なことにガッカリしたり、全てを完璧にしたりする必要はないということですね。

平野氏:その必要は全くないと思います。日本的な教育では全てを平均点以上にしなければならない、という感覚が一般的です。そうではなくて、得意なことをどんどん伸ばそうと考えればいいのではないでしょうか。自分が楽しんで熱中できることや、他の人よりも自分がすぐにできてしまうことがヒントになると思います。

 得意を見つけ、その究極系を突き詰めてアップデートしていく。そんな仕事ができれば人生は楽しくなるし、パフォーマンスも高くなると思います。得手不得手は人それぞれですから、自分が苦手なことは、得意とする人にどんどん任せていけばいいのです。

 私でいうと「未来をつくっていく」というのが一番得意で、楽しんでやれることだと思っています。会社の方向性を考えたり、お客さまの企業の未来はどうあるべきかという将来図を描いたりすることですね。

困ったときに頼れる仲間をつくる

これまで好きなこと、得意なことを突き詰めてきたというお話ですが、一番苦しかったのはどんなときでしたか。

平野氏:在学中に起業をした当時は、今ほど起業家がロールモデルになっていなくて、何をどうすればいいのか全く分からずしんどかったですね。今は、どう起業を進めればいいのかネットで検索すると出てきますが、当時は全くありませんでした。誰も教えてくれる人がいなくて、暗中模索の中でやるしかない。投資家と呼ばれる人たちも全然いなかったし、資金調達のやり方も分かりませんでした。

 起業する前はある程度正解のある世界にいました。高校生までは受験勉強の正解があるし、大学で論文を書くときでも「こう書けば評価される」という一定の方法論が分かっている。ただ、起業してからは全く答えがないし、教えてくれる人もいないわけです。負けを認めたくないし何とか頑張りたいという気持ちだけで、最後はもう根性で続けていました。

根性を鍛えられたバックグラウンドがあったのでしょうか。

平野氏:いや、何もないです。むしろその真逆で、楽しいことしかしない人間でした。習い事も、だいたい始めて3カ月後には飽きてやめてしまうような。それを繰り返す人生だったので、根性とは真逆の所で生きていました。ただ、同じことを何度も繰り返すのは苦手ですが、新しいことをやるのは好きなんですね。起業は新しい課題がどんどん出てくるので、それが続けられた理由の一つかもしれません。

当時の自分や今の若いビジネスパーソンにアドバイスをするなら、どんな言葉をかけますか。

平野氏:もっと周りに頼れるメンターを増やせばよかったと思います。何か「これ」を知りたいと思ったとき、その道の詳しい人に聞くと結構教えてくれるんだということに、27~28歳の頃に気づきました。20代はむだな回り道をめちゃめちゃしましたが、もっと早くから人に聞いて意見を求めればよかったなと思います。

次ページ 20代のうちに思い切り働く経験を