「日経ビジネスLIVE」とは:「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト

ビジネスパーソンとしてどう成長していくか――。特に若い世代では大きな関心事です。では、注目を集める成長企業の経営者は、30代までに何を学び、どんな経験を積んできたのでしょうか。本インタビューシリーズでは、若手ビジネスパーソンにも知られる起業家・経営者に「自分のいまを形づくった若い頃の経験、努力、失敗」などを振り返っていただきます。また、本シリーズと連動して日経ビジネスでは、若手読者向けにこうした起業家・経営者の経験やビジネススキルをオンラインで学ぶ日経ビジネスLIVEを展開しています(電子版有料読者は受講料無料です)。ウェビナーの日時・プログラムの詳細はこちらをご覧ください。

人工知能(AI)開発スタートアップのシナモンを率いる平野未来社長。大学在学中に会社を興して以来、起業家の道を歩んできたが、会社の売却や事業の転換を経験するなど順風満帆というわけではなかった。「むだな遠回りもしてきた」と語る彼女の原動力はいったい何か。

平野さんは大学在学中から起業の道を歩み始めました。自分の将来やキャリアについてどのように考えていたのでしょうか。

平野未来・シナモン社長CEO(以下、平野氏):実は、私は「自分のキャリア」といったことは人生で一度も考えたことがありません。自分が好きなことや楽しいと思ったことを突き詰める道を進んできたという感じです。

 高校時代を振り返ると完全にネット中毒の女子高生でした。当時はクラス内にインターネットをしている人は全くいなくて、私ぐらい。「Post Pet(ポストペット)」や、今思うと怪しげな匿名チャットなんかをやってみたり、デジカメを手に入れて写真を撮って編集したりしていました。

平野未来(ひらの・みく)氏
シナモン社長CEO。2008年東京大学大学院修了。2005年と2006年に、自身が開発に関わったECサービス関連などのシステムが、経産省系の独立行政法人、情報処理推進機構(IPA)のIT人材発掘・育成事業である「未踏ソフトウェア創造事業」に採択された。在学中にアプリ開発のネイキッドテクノロジーを創業し、11年にミクシィに売却。12年にシンガポールでシナモンを創業、16年に日本法人を設立した(写真:的野弘路、以下同)

 高校生の頃は消費者としてネットに夢中になっていましたが、大学に進むと今度は自分がつくる側に回れることに気がつきました。そこから大学時代はプログラムに熱中していったわけです。ただ、「何々をやりたい」という気持ちはなくて、むしろ、「将来なりたいものが特にない」という感じでした。インターネットは遊びと捉えていたので、単純に楽しいからやっているだけでしたね。

 大学3年生くらいからは徐々に起業家という存在が見えるようになってきて、何か面白そうだなという感覚はありました。そこから修士課程に進み、「複雑ネットワーク」という分野の研究をしていました。例えば、グーグル検索ページのアルゴリズムは、この技術をベースにつくられています。自分の趣味の延長、楽しいことを突き詰めた先に、世界を変えられる可能性があると気づいて衝撃を受けたのを覚えています。そこからは、自分自身もこの変化を起こす側になりたいなという気持ちを持つようになりました。

自分の選択に不安を感じたりはしませんでしたか。

平野氏:このままで大丈夫かなという気持ちはありましたが、最初の起業が在学中ということもあり「やってだめだったら就職すればいいかな」くらいの感じでした。とりあえず好きなことをやってみたい、という気持ちの方が強かったです。今思うと、「就職して働いても自分はうまくやっていけるだろう」みたいな勘違いをしていたんですね(笑)。

苦手なことは、得意な人に任せればいい

 そもそも、私は能力のでこぼこがとても激しいんですよ。細々したことをきちっと進めていくこと、例えばメールを書くことなんかも苦手です。返事を書くことへの苦手意識もあるし、そもそも返すことも忘れてしまう。ビジネスの世界だとメールはすぐに返すのが当たり前じゃないですか。でも、それができないせいで関係性が悪くなってしまうこともありました。

 他にも、物事を期限通りに進めるのは苦手です。一方で、人前で話す、未来を考える、など得意なこともある。組織として、各自のいいところを生かし、それぞれの苦手を補い合える形にしたいなと5~6年くらい前から思っています。

続きを読む 2/3 困ったときに頼れる仲間をつくる

この記事はシリーズ「若手経営者が明かす、30代までに学ぶ「ビジネスの流儀」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。