<span class="fontBold">「日経ビジネスLIVE」とは</span>:「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト
「日経ビジネスLIVE」とは:「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト

ビジネスパーソンとしてどう成長していくか――。特に若い世代では大きな関心事です。では、注目を集める成長企業の経営者は、30代までに何を学び、どんな経験を積んできたのでしょうか。本インタビューシリーズでは、若手ビジネスパーソンにも知られる起業家・経営者に「自分の今を形づくった若い頃の経験、努力、失敗」などを振り返っていただきます。また、本シリーズと連動して日経ビジネスでは、6月から若手読者向けにこうした起業家・経営者の経験やビジネススキルをオンラインで学ぶ日経ビジネスLIVEを展開していきます(電子版有料読者は受講料無料です)。ウェビナーの日時・プログラムの詳細は記事末尾をご覧ください。

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AI(人工知能)を活用した将棋アプリ「将棋ウォーズ」のヒットで知られるHEROZ(ヒーローズ)。現在はゲームにとどまらず、「建設」「金融」「エンターテインメント」を中心に企業へのAI技術の提供を進めている。CEO(最高経営責任者)としてHEROZを率いるのが林隆弘氏だ。国内IT大手を経て2009年にHEROZを設立した林氏は、どのような問題意識を抱き、起業へと至ったのか。

<span class="fontBold">林隆弘(はやし・たかひろ)氏</span><br> HEROZ CEO(最高経営責任者)。早稲田大学卒業後、1999年にNECに入社。技術開発職として、IT戦略部や経営企画部に在籍。同僚だった高橋知裕氏(現HEROZ COO=最高執行責任者)とともに2009年4月にHEROZ設立。 AI(人工知能)を活用したオンライン将棋アプリ「将棋ウォーズ」をヒットさせる。現在はAIを企業向けビジネスに展開中。(写真=吉成大輔)
林隆弘(はやし・たかひろ)氏
HEROZ CEO(最高経営責任者)。早稲田大学卒業後、1999年にNECに入社。技術開発職として、IT戦略部や経営企画部に在籍。同僚だった高橋知裕氏(現HEROZ COO=最高執行責任者)とともに2009年4月にHEROZ設立。 AI(人工知能)を活用したオンライン将棋アプリ「将棋ウォーズ」をヒットさせる。現在はAIを企業向けビジネスに展開中。(写真=吉成大輔)

HEROZはAI(人工知能)を活用した人気の将棋アプリ「将棋ウォーズ」を手掛けています。まずは林さんと将棋との関わりを教えてくれますか。

林隆弘氏(以下、林氏):私にとって将棋はかけがえのない趣味というかライフワークで、小学校の低学年に始めました。子供の頃から「一番になれるものを見つけなさい」と両親に教えられて育ちました。水泳やサッカー、テニスなどに挑戦する中で、将棋が自分の適性に合っていたんでしょうね。楽しかったですし、一番を狙えるかなと思ったわけです。

 高校3年生のときには、受験があるにもかかわらず「全国高等学校将棋選手権」に出場して優勝しました。翌年に大学に入学したのですが、次は大学とアマチュアで優勝するという目標を描いて、当初は将棋に明け暮れていましたね。怖さを知らないこともあって勢いのまま、すぐに「学生名人」になれました。大学1年の間に他のタイトルも獲得し、今から振り返ると将棋人生のピークでしたね。

大学2年以降は、どう過ごしていたのでしょうか。

林氏:興味のある領域が増えていきましたね。棋士(将棋プロ)の道は小学生の時に断っていたので、達成感もあり、他のことに興味が移っていきました。勉強やバイト、サークル活動と、いわゆる学生生活を謳歌(おうか)していました。

「次は何で一番を目指そうか」

その大学時代に起業を志しました。

林氏:将棋に区切りがついたこともあり、社会人として「次は何で一番を目指そうか」という少年時代からの「お題」に戻ってしまいました。考えた結果、人生で投資すべきは仕事で、そうなれば起業だろうと。

 起業は意識したものの、実は深い理由はないんです。親族に経営者がいましたし、子供の頃将棋のプロをやめようと思ったときに将来の夢では社長になると書いていました。後付けはいくらでもできるのですが……。

 経営者として組織を統率するのに向いているかは分かりません。わがままですしね(笑)。でも小さい頃に学級委員や生徒会といった組織を統率する立場を経験したことで、組織を率いてみたいという考えが湧いてきました。

 実際、リーダー的な役割が面白かったというのもあります。自分が描いた戦略に応じて結果が残る。これは将棋に通じるところがありますね。勝負事が好きなんですよ。

とはいえ、大学からそのまま起業とはなりませんでした。

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