
「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト
ビジネスパーソンとしてどう成長していくか――。特に若い世代では大きな関心事です。では、注目を集める成長企業の経営者は、30代までに何を学び、どんな経験を積んできたのでしょうか。本インタビューシリーズでは、注目の起業家・経営者に「自分の今を形づくった若い頃の経験、努力、失敗」などを振り返っていただきます。
また、本シリーズと連動して日経ビジネスでは、6月から若手読者向けにこうした起業家・経営者の経験やビジネススキルをオンラインで学ぶ日経ビジネスLIVEを展開していきます(電子版有料読者は受講料無料です)。ウェビナーの日時・プログラムの詳細は記事末尾をご覧ください。
全国の生産者から直接食材を購入できるオンライン直売所「食べチョク」。コロナ禍で応援消費の受け皿となり、2020年の年間流通額は19年比で42倍に成長。21年も右肩上がりで伸びている。「食べチョク」代表で、運営会社ビビッドガーデン(東京・港)社長の秋元里奈氏は、最初から起業を志していたわけではない。実は引っ込み思案で、「やりたいことがない」というコンプレックスを抱き続けてきた。彼女は、なぜ変われたのか。

1991年、相模原市の野菜農家に生まれる。慶応義塾大学理工学部卒業後、2013年ディー・エヌ・エー入社。Webサービスのディレクター、営業チームリーダー、新規事業の立ち上げを経験後、スマートフォンアプリのマーケティング責任者に就任。16年11月、25歳でビビッドガーデンを創業。17年5月、オンライン直売所「食べチョク」を立ち上げる。オンオフ問わず365日24時間着ている「食べチョクTシャツ」がトレードマーク(写真:古立康三)
ディー・エヌ・エーを経て起業の道へ進んだのは25歳のときでした。当初、起業という選択肢は全く念頭になかったそうですね。
秋元里奈ビビッドガーデン社長(以下、秋元氏):もともとずっと「やりたいことがない」のがコンプレックスだったんですよ。転機は、ディー・エヌ・エーに入社して3年目。久しぶりに相模原市の実家に帰ったら、昔きれいだった畑が荒れ果てていました。
「なんで農業やめちゃったんだろうな」と考えたことから、徐々に農業の世界に興味を持ち始め、農業をよくする事業だったら一生を懸けてもやれると思ったんです。「やらない理由は時間がたてばたつほど増えていく」と友達の起業家にも背中を押され、「やりたいこと」が見つかったときが、やるのにベストなタイミングだなと決意し、起業しました。
成長するのは「メタ認知」能力が高い人
秋元さんは今30歳。30代に入ったばかりですが、若いうちにやっておいたほうがいいことって何だと思いますか。
秋元氏:20代のうちは、やっぱりどんどん打席に立つのが大事。私の場合はディー・エヌ・エーで打席に立ちまくって、失敗も含めてたくさんバットを振らせてもらいました。小さい失敗をいっぱいして、なんとか帳尻を合わせて目標を達成できるようになった。平たく言うと、頑張ればなんとかなるという自信がついたんです。「起業は怖い」という思いを越えられたのは、自信がちゃんとついたからというのはあると思います。
20代のうちは、誰かが目標を決めてくれて、間違っていたら教えてくれますよね。でも、30歳を超えると、自分で伸びていく力をつけないと成長が止まってしまうなと思います。

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