「日経ビジネスLIVE」とは:
「読むだけではなく、体感する日経ビジネス」をコンセプトに、記事だけではなくオンライン/オフラインのイベントなどが連動するプロジェクト

ビジネスパーソンとしてどう成長していくか――。特に若い世代では大きな関心事です。では、注目を集める成長企業の経営者は、30代までに何を学び、どんな経験を積んできたのでしょうか。本インタビューシリーズでは、注目の起業家・経営者に「自分の今を形づくった若い頃の経験、努力、失敗」などを振り返っていただきます。

 また、本シリーズと連動して日経ビジネスでは、6月から若手読者向けにこうした起業家・経営者の経験やビジネススキルをオンラインで学ぶ日経ビジネスLIVEを展開していきます(電子版有料読者は受講料無料です)。ウェビナーの日時・プログラムの詳細は記事末尾をご覧ください。

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インターネットによる保険販売はいまや当たり前となった。だが、かつては規制に守られ、大手が市場を分け合う構図が長らく続いていた。そこに一石を投じた1社がライフネット生命保険。2006年、30歳で共同創業者として同社を立ち上げたのが岩瀬大輔氏だ。13年からは社長を務め、現在はベンチャーキャピタルで新たな企業の育成に取り組む。東大法学部在学中に司法試験に合格、外資系コンサルティングファームなどに勤務し、米ハーバード大学経営大学院への留学も経験した岩瀬氏は、どのような意識で自らのキャリアを構築し、活躍の場を広げてきたのか。

岩瀬大輔(いわせ・だいすけ)氏
東京大学法学部在学中に司法試験に合格し、1998年に卒業。ボストン・コンサルティング・グループでの勤務やハーバード大学経営大学院への留学などを経て、2006年、副社長としてライフネット生命保険の立ち上げに参画。13年に社長、18年に会長を経て19年退任。18年から香港の生命保険会社AIAグループの本社経営会議メンバー兼グループ最高デジタル責任者(CDO)も務めた。その後、香港を拠点にフィンテックやヘルステック領域を中心としたベンチャー企業を支援するTIGER GATE CAPITALを設立。国内ベンチャーキャピタルのスパイラル・キャピタル(東京・港)のマネージングパートナーも務める。(写真:的野弘路)

岩瀬さんは大学を卒業後、コンサルティング会社勤務や留学を経て、日本生命保険出身の出口治明さん(現・立命館アジア太平洋大学学長)とライフネット生命保険を立ち上げました。20代は外資系企業勤務や留学、30代は大手保険会社に挑戦するスタートアップの創業者として過ごしてきたわけですが、どのような自身のキャリアを考えていたのでしょうか。

岩瀬大輔氏(以下、岩瀬氏):情報に振り回されず、ひたすら目の前の仕事をやっていた記憶があります。20代の頃は今ほど情報があふれていませんでしたし、私自身、仕事やキャリアについて、インターネットで調べたり、ビジネス書を買って読んだり、セミナーに参加したりすることもほとんどありませんでした。

 ワークライフバランスという概念が今ほどなかったので、ものすごく働いていましたね。深夜どころか、朝まで働いて、会議室で寝て、シャワーを浴びに家に帰って、また(顧客企業に)プレゼンをしに行くということもザラでした。キャリアとか仕事術とか成長とか難しく考えず、ひたむきに一つひとつの仕事をしてきたという感じです。

仕事の目標は百点を取って上司に褒められることではない

きつかったんじゃありませんか。

岩瀬氏:僕は仕事がきついと思ったことはないんです。自分が一生懸命やってできなければ、上司の仕事の振り方の問題だと考えてきました。

 1人で百点満点を取ろうと頑張ると、仕事ってきついと思うんです。『入社1年目の教科書』(ダイヤモンド社)という本でも「50点でいいから早く出せ」と書いたのですが、「自分でできることはとにかくやる。でも、できないことがあれば早く相談する」というのを常に心がけてやってきました。「きつい」というのは悩んでいるときに感じるものだと思います。

 私はその前の段階で相談していたので、あまりきつかったという印象はないんですね。仕事の目標は百点満点を取って上司に褒められることではなく、上司を含めて先輩や同期などいろんな人の力を借りて、いい商品やサービスをお客さまに届けること。それを意識してきました。

いつからそういう考えになったのですか?

岩瀬氏:新卒で入ったボストン・コンサルティング・グループでは、助け合って仕事をするカルチャーでした。それが大きかったと思います。例えば、使い捨てコンタクトレンズのマーケティング戦略のプロジェクトに入ったとします。そのときに「皆さんや皆さんの周りで使い捨てコンタクトレンズに詳しい人はいませんか」とメールで尋ねると、すぐに返事が来ていた。だから、仕事ってそうやってするもんだなって思いました。

 でも、会社のカルチャーが違うとそうじゃないんです。2社目のリップルウッド(企業再生ファンド)に勤めていたときにそう感じました。大手の保険会社から転職してきた上司に、こんなことを言われたことがありました。

 「岩瀬と仕事をして驚いたことが3つある。1つ目は仕事のスピードがめちゃくちゃ速いこと。2つ目はリポートを真っ赤に直して返すとうれしそうに持って帰ること。3つ目はよく部屋に来て、すし屋に連れて行けとかねだることだ」と。特に2つ目について驚かれたことには、私が逆に驚きました。彼が前に在籍していた大手保険会社のような大企業には、自分だけの力で満点を取ってやろうという方が多かったのではないでしょうか。

 「自分の力で満点」と思うと真っ赤なリポートを返されるときっとつらい。でも、共同作業と思えば、自分にとってもチームにとってもいい方向に向かうのだと思います。

20代から転職や留学を経験し、30歳でライフネット生命を創業された岩瀬さんのご経歴から、戦略的に自身のキャリアアップを模索されていたようにも見えます。どのようなキャリアパスを描いていたのですか。

2006年、出口治明氏(左)とともにライフネット生命保険を立ち上げた
続きを読む 2/2 縁、タイミング、運……、キャリアと恋愛は似ている。

この記事はシリーズ「若手経営者が明かす、30代までに学ぶ「ビジネスの流儀」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。