VR先進層とVTuberの個人利用のハードルを下げる

 現在、メタバースが注目を集めるようになったことからモーションキャプチャーのようなデバイスの重要性が高まっていることは確かだろう。ただ実際にそれを必要としている人がたくさんいるかというと、決してそうではない。

 にもかかわらず、なぜmocopiがTwitterでトレンドになるほどの注目を集めるに至ったのかといえば、やはりVR先進層の心をつかんだからこそだろう。先にも触れた通りmocopiのデータはVRChatでも利用可能である。VRChatは利用のハードルが高い一方、VR先進層の中では非常に大きな盛り上がりを見せている。

 そうした人達の中では、コミュニケーションに用いるアバターに全身の動きを反映させたいというニーズが高まっているという。だがVRゴーグルやコントローラーで上半身の動きはある程度アバターに反映できるものの、下半身の動きの反映は難しかった。それだけに、モーションキャプチャーで全身の動きを簡単に反映できるmocopiは解決策の1つとなる可能性があるとして注目されたようだ。

mocopiのスマートフォンアプリから他のデバイスにモーションデータを送ることも可能だ。写真は「Meta Quest 2」と接続して「VRChat」上のアバターにモーションデータを反映しているところ。写真は2022年11月30日、ソニー社内にて筆者撮影
mocopiのスマートフォンアプリから他のデバイスにモーションデータを送ることも可能だ。写真は「Meta Quest 2」と接続して「VRChat」上のアバターにモーションデータを反映しているところ。写真は2022年11月30日、ソニー社内にて筆者撮影
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 そしてもう1つの大きな要因は、ここ最近急速に人気が高まっているVTuberであろう。VTuberは仮想のキャラクターにふんして「YouTube」などに動画を投稿したり、ライブ配信したりする人達のことを指すが、VTuberもその表現を高めるには顔の動きだけでなく、全身の動きをキャラクターに反映することが求められる。

 最近では企業だけでなく、個人が単独でVTuberにふんすることも多いが、それを実現するための機材と環境を整えるハードルはかなり高いものとなっていた。mocopiがそうしたVTuberが抱える課題のハードルを大きく下げる存在となり得ることも、評判を得た要因といえそうだ。

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