普及に向けた課題は「仮想通貨」のイメージ

 ちなみにDapper Labsは2021年11月5日にミクシィとの提携を発表しており、両社はDapper Labsのブロックチェーンプラットフォーム「Flow」を用いた新規事業創出に取り組みとしている。またLINE社と同じZホールディングス傘下にあるヤフーは、2021年7月27日にLINE社やそのグループ会社のLVCと共同で、LINE Blockchainを基盤としたNFTアイテムをヤフーの「ヤフオク!」上で取引できる仕組みを提供するとしている。

ヤフーはLVCと連携し、今後LINE Blockchainを基盤としたNFTアイテムを「ヤフオク!」上で取引できるようにするとしている
ヤフーはLVCと連携し、今後LINE Blockchainを基盤としたNFTアイテムを「ヤフオク!」上で取引できるようにするとしている
(出所:ヤフー)
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 他にもNFTへの取り組みを積極化する国内企業はいくつか出てきており、今後NFTを活用したサービスは確実に増えていくと予想される。だがその普及に向けてはハードルも少なからずあるように感じる。

 そもそもNFTは何らかのブロックチェーンのプラットフォーム上で実現されているため、データの売買にもそのプラットフォームを活用した仮想通貨を用いることが多く、利用には対応する仮想通貨のウォレットや口座などの開設を求められることも少なくない。

 ただ仮想通貨は価値が乱高下する投機のイメージが強いので、ウォレットなどの開設に抵抗感を抱く人も多いと考えられる。多くの人にNFTを利用してもらうには、ブロックチェーンの成果の1つでもある仮想通貨がもたらすイメージの改善や、ウォレットがなくても売買できる場の構築といった課題なども解決していく必要があるだろう。

 そしてもう1つの課題は、ブロックチェーンや仮想通貨を用いる仕組みが既存のアプリ配信プラットフォームにマッチしないことだ。とりわけAppStoreやGoogle Playなどのスマートフォン向けアプリ配信プラットフォームは、最近ではやや制約が緩んだとはいえ、プラットフォーム側が提供する課金システムの利用が基本とされているため、NFTとの相性が良いとはいえない。

 それだけにNFTを活用したアプリの多くはWebベースで提供されているが、利便性を考慮するとWebベースでは利用の幅を広げにくいという課題がある。それらの課題を関連する事業者が協力してクリアできるかが、NFTが普及する上での大きな分岐点になってくるといえそうだ。

佐野 正弘(さの まさひろ)
フリーライター
福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手掛けた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手掛ける。

[日経クロステック 2021年12月6日掲載]情報は掲載時点のものです。

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