データが価値を持つとコンテンツはどう変わるのか
なぜNFTが急速に盛り上がりを見せているのかといえば、デジタルデータに価値を付けられるようになることで、コンテンツやサービスの在り方が大きく変わる可能性があるからだ。
これまでデジタルデータはその価値や保有者を示す明確な方法がなく、実在するモノと比べた場合、誰がデータを所有しており、その価値をどうやって評価するかという基準が極めて曖昧であった。例えばオンラインゲーム内でユーザーが入手するキャラクターやアイテムは、ゲームを運営する企業とユーザーのどちらが保有するものなのかという議論は以前からあったが、そこにはデジタルデータの価値や保有者を証明する手段がなかったことが影響しているといえよう。
そして価値が曖昧なだけに、ゲーム内のアイテムなどをお金で取引するRMT(リアルマネートレーディング)は問題行為とされることが多かった。実際、国内の多くのオンラインゲームサービスでは、RMTが禁止行為とされている。
だがNFTによってデジタルデータの価値や保有者を証明する方法が登場したとなれば、そうした状況は大きく変わってくる。NFTで価値が付けられたアイテムをゲーム内で入手すれば、その保有者が企業から消費者に移ったことを示せるためアイテムの売買が自由にできるようになるし、企業側がアイテムの価値を恣意的に操作することもできなくなる。
例として、NFTの火付け役となった、カナダのDapper Labs(ダッパー・ラボ)という企業が提供する「CryptoKitties(クリプトキティーズ)」というゲームを挙げてみよう。これは猫を交配して新しい猫を誕生させて育てる育成ゲームなのだが、暗号通貨(仮想通貨)の1つとして知られるEthereum(イーサリアム)のブロックチェーンプラットフォーム上で動作するアプリであり、生まれた猫がNFTにより価値を付与されている点に大きな特徴がある。
それゆえCryptoKittiesで得た猫はユーザー間で売買できるし、入手した猫を他のゲームやアプリなどに取り込んで活用することもできる。異なる人が開発したアプリで他のゲームのキャラクターを活用できるというのは、NFTによりデータ自体がゲームから独立した価値を持つからこそだといえるだろう。
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