NTTドコモは2021年11月18日、ドローンビジネスのブランド「docomo sky」を掲げて産業用ドローンビジネスの活用推進を打ち出した。LTEのネットワークを用いたドローン「セルラードローン」の利用拡大に向けたパッケージを提供したり、パートナーとの連携を強化したりする。ドローン飛行の「レベル4」が2022年の解禁が見込まれているためだ。だが、事業の本格化に向けては課題も少なくないようだ。

「docomo sky」をドローン事業のブランドに

 新しい技術を活用したビジネスの開拓に積極的に取り組んでいる携帯電話各社だが、その1つがドローンだ。それに関連して、最近大きな動きを見せたのがNTTドコモである。

 NTTドコモはこれまでにも、モバイル通信を活用したドローン「セルラードローン」の実現に向けた実証実験を実施してきた。そのほか、子会社のNTTドコモ・ベンチャーズを通じてドローン機体開発を手掛ける米Skydio(スカイディオ)にも出資。さらにドローンの飛行や映像解析などを一元管理できるドローン向けクラウドプラットフォーム「docomo sky」を提供するなど、事業化に向けた具体的な取り組みを進めてきた。

NTTドコモはドローン事業に力を入れており、子会社を通じて米国のドローンメーカーであるスカイディオに出資し、同社のドローンを活用したソリューション開拓などを進めている。写真は2020年11月16日のSkydio Japan日本法人設立会社説明会より(筆者撮影)
NTTドコモはドローン事業に力を入れており、子会社を通じて米国のドローンメーカーであるスカイディオに出資し、同社のドローンを活用したソリューション開拓などを進めている。写真は2020年11月16日のSkydio Japan日本法人設立会社説明会より(筆者撮影)
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 前述のようにNTTドコモは2021年11月18日にドローン事業に関する説明会を開催し、いくつかの新たな取り組みを打ち出した。その1つがドローン事業に「docomo sky」というブランド名を付けたことだ。

 先にも触れた通り、docomo skyという名称はこれまでドローン向けのプラットフォームに付けられていたもの。だが今回、NTTドコモはその名称を「docomo sky Cloud」に変更するとともに、docomo skyを事業ブランドへと変更することで、ドローン事業の強化に本腰を入れる姿勢を明確にしたわけだ。

NTTドコモは「docomo sky」をドローン事業のブランドにするとともに、従来同名を使っていたドローンのクラウドプラットフォームは「docomo sky Cloud」に変更する
NTTドコモは「docomo sky」をドローン事業のブランドにするとともに、従来同名を使っていたドローンのクラウドプラットフォームは「docomo sky Cloud」に変更する
(出所:NTTドコモ)
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 docomo skyブランドの立ち上げで、NTTドコモが狙うドローンの事業領域は、やはりセルラードローンの特徴を生かしたものとなるようだ。実際、同社の5G・IoTビジネス部 ドローンビジネス推進担当部長である牧田俊樹氏は、点検・測量など既存のドローンビジネスの主体となっている事業領域は競争が激しいことから、モバイル通信を活用しなければ実現が難しく、しかも高度な機能が要求される物流や災害対策などの事業領域に力を入れていく方針を示している。

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