メルカリは子会社設立で集荷物流に注力
一方で、より大きな規模のサービスでも物流網に関する新たな動きが起こりつつある。フリマアプリ大手のメルカリ社が2021年10月28日に発表した、物流サービスの企画や運営を手掛ける子会社「メルロジ」の設立である。
メルカリはフリマアプリ「メルカリ」で販売された商品を送る手段として、郵便局やコンビニエンスストアなど既存の物流網だけでなく、2020年からは新たに無人の投函(とうかん)ボックス「メルカリポスト」や、実店舗の「メルカリステーション」の設置・活用も積極的に進めている。メルロジでは、独自で構築したメルカリポストなどを基盤に、独自の物流網を構築して顧客体験の向上を実現するとしている。
具体的には、メルカリが持つ月間利用者2000万人の取り引きデータを基に集荷量が多い場所を特定して、メルカリポストなどから効率的に集荷する物流網を構築するという。それに伴い基盤となるメルカリポストも拡大していく方針で、現在全国1000カ所に設置されているメルカリポストを2024年までには8000カ所に広げるとしている。
ただしメルロジが手掛けるのはあくまで集荷と仕分けの部分となり、配送に関しては従来通り、パートナー企業の物流網を活用するとしている。一方で集荷に特化することにより、梱包レスでの発送や、発送前商品のクリーニングなど、顧客体験を高める付加価値サービスに力を入れていく考えのようだ。
またメルカリ社は同じく子会社のソウゾウを通じてeコマース支援サービス「メルカリShops」の展開を打ち出しており、メルカリを通じたサービスの拡大を推し進めている状況だ。それだけに、メルカリの付加価値を高め競合との差を明確にしていく上でも、オンラインだけでは差異化が難しい物流の部分に踏み込んだ施策を講じるに至ったといえそうだ。
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