「Paidy(ペイディ)」を運営するPaidy社が米PayPal(ペイパル)に買収されたことで、注目を集めるようになった「BNPL」(Buy Now、Pay Later)と呼ばれる後払いサービス。国内でもBNPLに類するサービスが急速に広まりを見せているが、消費者の心をつかんでいる理由はどこにあるのだろうか。
海外のIT大手が再び日本の決済ベンチャーを買収
スマートフォン向け決済サービスの「pring(プリン)」を提供するベンチャー企業のpring社が2021年7月に米Google(グーグル)に買収されたことが大きな話題となった。だが海外IT大手による国内フィンテック系ベンチャーの買収はそれだけにとどまらず、2021年9月8日にも再び大きな動きが起こっている。
インターネット決済大手のペイパルが、Paidyを運営するPaidy社を3000億円で買収すると発表したのだ。ペイパルはPaidy社の買収、そしてPaidyの活用によって日本国内での決済市場において機能やサービスを拡充し、存在感をさらに高めていくとしている。
ペイパルが買収したPaidyをひと言で表すならばオンライン専用の後払い決済サービスということになる。消費者はPaidyの加盟店で、Paidyを使ってその場ですぐ買い物ができ、その料金は翌月にコンビニエンスストアや銀行振込などでまとめて支払うという仕組みだ。
後払いの決済サービスといえばクレジットカードがよく知られている。クレジットカードは発行前に与信審査をして利用限度額などを決める。これに対し、Paidyは決済時に与信審査をする仕組みだ。しかも既存の信販会社などとは異なる独自のスコアリングで審査をするので、クレジットカードを利用しづらい若い世代なども使いやすいのが特徴となる。
そうした利便性からPaidyは多くのECサイトやオンラインサービスの顧客を獲得しており、米Apple(アップル)の「Apple Store」向けにも「ペイディあと払いプランApple専用」を提供するに至っている。さらに本人確認することで、手数料無料の「3回あと払い」や、VISAブランドのクレジットカードが使えるECサイトなどで決済できる「どこでもペイディ」などが使えるようになる「ペイディプラス」を提供するなど、サービスの拡充も推し進めている。
今回はそうした最中での買収劇となったのだが、ペイパル側は買収後もPaidyのサービスは従来通り継続するとしており、買収によってサービス自体が大きく変わるわけではないようだ。それ故Paidy社はペイパルの後ろ盾を得て、今後もサービスの拡大を推し進めるものと考えられる。
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