音響機構だけでなく、通信モジュールにも差異があるに違いない。そう考えて、Bluetoothテスターなどを販売する東洋計測器に分析を依頼した。BLE(Bluetooth Low Energy)通信でデバイスの発見などに使う「アドバタイジングチャンネル」の信号を解析して、搭載のBLEモジュールの精度を比較した。

計測に使用したテスターやシールドボックス
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計測に使用したテスターやシールドボックス
BLE通信の測定機器一式を示した。アンテナカプラーは計測目的のアンテナで、測定物に接触して電波を受信し、同軸ケーブルで信号をテスターに送る。デンマークのRTX社のBluetooth RFテスター「RTX2254」を使った。(写真:日経クロステック)

 まずは、アドバタイジングチャンネルの周波数のずれを示す「周波数オフセット」。この値が大きくなると、通信が不安定になりやすい。結果は、本物が±2kHz以内で、偽物がそれよりも大きい-39~49kHzだった。

 偽物の方が周波数オフセットが大きいのは、「安物の水晶発振器を用いていたため」(同社 フィールド・エンジニアリング部の岩崎茂氏)だとみられる。Bluetoothの仕様には、周波数オフセットを±75kHz以内に抑えなくてはならないという規定がある。偽物はこれを満たしているため、一応は安定した通信が可能なものの、本物と比べると大きく劣る。

 さらに、アドバタイジング信号の頻度や強度にも違いがある。本物はインターバルが約190msで、1秒間に約5回のペースで送出する。一方の偽物は、インターバルが約34msで、1秒間に約30回も出している。さらに、全体的に強度の高い信号を出していることも分かった。

周波数オフセットが大きく異なった2つの製品
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周波数オフセットが大きく異なった2つの製品
偽物と本物のBLE通信性能の比較。周波数のずれを示す「周波数オフセット」は、偽物の方が本物より大きい。アドバタイジング信号を出力する間隔は、偽物の方が短い。(表:東洋計測器提供のデータを基に日経クロステックが作成)

 頻度や出力レベルが高いと、当然電力を多く消費する。偽物は恐らく、市場に出回っている既製のBLEモジュールをそのまま使用して、出力レベルや頻度の設定を初期値のままにしている可能性が高い。偽物の分析結果について、「BLE通信する上では特段の支障がないレベルだ」(同氏)と評した。

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