偽AirPods Proを記者の手持ちのiPhoneとBluetoothで接続した。すると、なんとiPhoneがAirPods Proだと認識した。偽物の開発者はBluetoothのメッセージなどを分析して、iPhoneに偽物が本物のAirPods Proだと認識させることに成功しているのだ。もちろんこのまま音楽を流すこともできるし、ANC(アクティブノイズキャンセリング)機能で外音除去することや、きょう体のステム部分をつまんで操作することも可能である。ユーザビリティーまで模倣していた。
ただし、本物と比べて音質は明らかに劣る。音づくりのプロであるオーツェイド(群馬県高崎市) 代表取締役社長の渡部嘉之氏が試聴したところ、偽物の音の悪さや低音の弱さを指摘した。記者のような音響素人が聴いても、偽物はボヤッとした音が鳴るのが分かった。低音が出ていないのは、イヤホンのきょう体から空気漏れしていたためである。低音を出すにはきょう体の密閉が必要で、これは「10µm単位で調整する」(渡部氏)繊細な作業だ。偽物はその技術が未熟だったようである。実際、試聴中の偽物は隣の人に聞こえるほど音漏れがひどかった。
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