KDDIとその傘下のauフィナンシャルホールディングスは2021年8月26日、「au PAY」の残高から「auじぶん銀行」へ、手数料無料で自動払い出しする機能を追加すると発表した。決済のためにチャージした残額を銀行に戻すというのは不思議な印象を受ける。だが同時に打ち出したauじぶん銀行の金利優遇策と併せて考えると、真の狙いが見えてくる。
手数料無料でau PAYの残高を払い出し
「auじぶん銀行」といえば、KDDIが2008年に三菱UFJ銀行と共同で設立し、モバイルでの利用を主体としたオンライン専用の銀行サービスを提供している。現在はKDDIの金融持ち株会社であるauフィナンシャルホールディングスの傘下にある。KDDIがスマートフォンを中心とした金融・決済サービスに注力していることもあって、口座数も2021年7月時点で440万超と、順調に拡大を続けているという。
その原動力となっているのが、KDDIやその傘下企業のサービスとの連携による優遇施策である。実際KDDIの電力サービスや、auブランドの携帯電話契約者がauじぶん銀行の住宅ローンを利用すると金利が優遇される「auモバイル優遇割」「じぶんでんき優遇割」を提供している他、「auカブコム証券」と口座連携することで、auじぶん銀行の普通預金金利が年0.1%に優遇される施策などを展開している。
そうした施策が好評を得ていることもあり、KDDIとauフィナンシャルホールディングスは2021年8月26日に発表会を実施し、auじぶん銀行の新サービスを打ち出した。その1つが、決済サービス「au PAY」の残高を自動でauじぶん銀行の口座に払い出す機能だ。
これはau PAYとauじぶん銀行の口座を連携して利用するもの。払い出しの頻度や金額を指定しておけば、自動的にau PAYからauじぶん銀行へと残高を払い出してくれる(送金・払い出し可能な残高のみ)。このサービスの最大のポイントは払い出し手数料が無料だということだ。
実はau PAY残高を手動でauじぶん銀行に払い出す機能自体は既に存在するのだが、2万円未満で1回当たり220円、2万円以上では払い出し額の1%(税別)の手数料がかかる。だが自動払い出しを使えばそれら手数料が一切かからないのだからメリットは大きい。
ただau PAYはあくまで決済サービスであり、どちらかといえば決済をするために、銀行口座やクレジットカードなどからau PAYにチャージして利用することが多い。そのチャージした残高を再び銀行に戻す施策に力を入れることには、利用者側としてもあまりメリットを見出しにくいと思える。
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