携帯3社からの支持が国内販売強化のポイントに

 だがもう1つ、大きな要因となっているのは販路を早期に獲得できたことではないかと筆者はみる。実際Nreal Airは、当初販売を開始したNTTドコモとKDDIに加え、2022年7月からは大手家電量販店のほか、ソフトバンクも取り扱いを開始している。

日本では携帯大手3社がNreal Airの販売を開始しており、早期に強力な販路を獲得できたことも、エンリアルが日本市場に力を注ぐ大きな理由になっていると考えられる。写真は2022年8月24日の「Nreal」戦略発表会より(筆者撮影)
日本では携帯大手3社がNreal Airの販売を開始しており、早期に強力な販路を獲得できたことも、エンリアルが日本市場に力を注ぐ大きな理由になっていると考えられる。写真は2022年8月24日の「Nreal」戦略発表会より(筆者撮影)
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 とりわけNreal Airの利用に欠かせないスマートフォンを扱っており、なおかつ強力な販路を持っている携帯大手3社の支持を早い段階で得たことは、エンリアルにとって大きな意味を持つ。ではなぜ日本の携帯3社がNreal Airの販売に積極的だったのかといえば、早い時期からARを活用したデバイスやサービスの開拓に積極的に取り組んでいたからだろう。

 実際NTTドコモは2019年にXRデバイスを手掛ける米Magic Leap(マジックリープ)に出資して同社のデバイスを開発者に提供している。またKDDIも2018年に同種のデバイスを手掛ける米Osterhout Design Groupと提携しており、同社が破綻した後の2019年にはエンリアルと提携するに至っている。

 またソフトバンクも、ARデバイスではないがサービス開発などの面でARサービス大手の米Niantic(ナイアンティック)と以前から協力関係にあり、ナイアンティックのARプラットフォームを活用したコンテンツ開発などを進めている。そうした3社のARに対する積極的な姿勢が、設立して間もないスタートアップ企業だったエンリアルには有利に働いたといえそうだ。

 そして日本市場での支持により実績を得たエンリアルは、米国や中国など他の国々でもNreal Airの販売を強化する方針を打ち出すに至っている。呂氏はエンリアルが2022年上半期に、コンシューマー向けの眼鏡型ARデバイスの市場で81%のシェアを獲得していることや、今後ARの市場が世界的に大きく伸びることなどを調査会社の調査結果が示しているとしており、今後の販売拡大に自信を示していた。

エンリアルは2022年上半期に、コンシューマー向けAR市場で81%のシェアを獲得したとのこと。無論まだ市場規模は小さいのだが、今後の市場の広がりで同社の優位性は一層大きくなるとみているようだ。写真は2022年8月24日の「Nreal」戦略発表会より(筆者撮影)
エンリアルは2022年上半期に、コンシューマー向けAR市場で81%のシェアを獲得したとのこと。無論まだ市場規模は小さいのだが、今後の市場の広がりで同社の優位性は一層大きくなるとみているようだ。写真は2022年8月24日の「Nreal」戦略発表会より(筆者撮影)
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