アップルがサイドローディングを拒否する理由とは
報告書の内容を見ると、アップルに関してはiOSでのアプリ配信先をApp Store経由のみに限定していることで、手数料の高額化や、アップルと競合するアプリとのイコールフッティング阻害などの問題が起こっているなどと指摘。検討すべき対応の方向性として、サードパーティーのアプリストアをインストールしてデフォルトに設定できることや、Webブラウザーからアプリをインストールできることの義務化が考えられるとしている。
一方グーグルに関しては、サイドローディング時に警告が表示されることでユーザーにリスクを過大評価させている恐れがある、Google PlayがAndroidにプリインストールされていることでサイドローディングが活用されにくくなっているなどと評価。検討すべき対応の方向性としては、サイドローディングによるアプリの配信を制限すること自体を禁止する規律の導入などが考えられるとしている。
一連の内容を見るとEUなどにならう形でかなり強い措置を検討しようとしているようで、日本政府としてもプラットフォーマーの市場寡占に強い懸念を抱いている様子がうかがえる。ただ一方で、サイドローディングを制限なしに容認することには少なからず問題がある。それはユーザーのセキュリティーリスクが高まりマルウエアなどのインストールが容易になってしまうことだ。
とりわけアップルは、そうしたサイドローディングへの懸念からアプリの配信先をApp Storeに絞り、そのチェックに力を入れることでセキュリティーの強化に力を入れてきた経緯がある。海外での報道などを見ても、サイドローディングによるセキュリティーリスクの拡大に強い懸念を示す主張がみられる。
実際アップルは2022年6月1日、App Storeにおいて2021年の1年間で、83万5000本を超える新規アプリと80万5000本のアップデートに不正や問題があるとして登録を却下もしくは削除したことを明らかにしている。それによってアップルは、約15億ドル(約2047億円)の不正取引を阻止したとするなど、App Storeでのセキュリティー向上に対する姿勢を示している。
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