5G(第5世代移動通信システム)の登場以降、その性能をアートに生かす取り組みが拡大しつつあるようだ。ソフトバンクは2021年6月29日、「東京ビエンナーレ 2020/2021」に出展するAR(拡張現実)アートの共同開発に関する記者説明会を実施した。その内容から、通信性能の向上がアートの世界にどのような影響をもたらしているのか探ってみよう。

5Gで通信とアートを融合した取り組みが活発に

 通信規格が4G(第4世代移動通信システム)から5Gに進化し、その通信性能の向上はモバイル通信と異なる分野から注目を集めている。スマートファクトリーなどに代表される企業のデジタル化などはその代表例だが、やや意外な分野といえるのがアートだ。

 実は携帯電話大手が5Gのサービスを始めた当初から、5Gとアートを組み合わせる試みはいくつか見られる。中でも積極的なのがKDDIで、同社は5Gのサービス開始当初より「au Design project [ARTS & CULTURE PROGRAM]」を立ち上げ、5Gを様々なアートに活用する取り組みを進めている。

 最近も2021年6月30日より、teamLab(チームラボ)と展示会「GINZA 456 & チームラボ:捕まえて集める境界のない群蝶」を開催。これは東京・銀座にあるKDDIのコンセプトショップ「GINZA 456」で実施されているもので、壁面で飛び交っているCGのチョウを、専用のアプリをインストールしたスマートフォンを使って捕まえるというもの。5Gの通信を用いることでCGとアプリがシームレスに連係し、リアルとデジタルの境界を意識することなくつながる体験を実現しているようだ。

KDDIが2021年6月30日より実施している「GINZA 456 & チームラボ:捕まえて集める境界のない群蝶」。壁面のCGアート内に飛び交うチョウを、スマートフォンアプリを使って捕まえる体験ができる
KDDIが2021年6月30日より実施している「GINZA 456 & チームラボ:捕まえて集める境界のない群蝶」。壁面のCGアート内に飛び交うチョウを、スマートフォンアプリを使って捕まえる体験ができる
(出所:KDDI)
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 もう1社、5Gとアートに関する取り組みに力を入れているのがソフトバンクだ。同社も5Gのサービス開始当初より、5Gをアートに活用するいくつかの取り組みを展開しており、2020年9月にオンラインで実施された技術展「ギジュツノチカラ」では、5GとMEC(Multi-access Edge Computing)を活用し、クラウド上で計算処理することにより、インタラクティブなアート作品を様々な場所で直接体験できるデモなどを実施していた。

 そして2021年6月29日には、国際芸術祭「東京ビエンナーレ2020/2021」に向けて、様々なアーティストとスマートフォンで楽しめるARアートを共同開発することを発表。同日に共同開発に関する記者説明会を開催している。

ソフトバンクは2021年6月29日、「東京ビエンナーレ2020/2021」に出展するARアートの共同開発に関する記者説明会を開催。会場では出展作品のARデモなども披露された。写真は同イベントより(筆者撮影)
ソフトバンクは2021年6月29日、「東京ビエンナーレ2020/2021」に出展するARアートの共同開発に関する記者説明会を開催。会場では出展作品のARデモなども披露された。写真は同イベントより(筆者撮影)
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