手数料無料の終了で店舗のキャッシュレス離れが懸念される

 だが店舗開拓は曲がり角にさしかかってきているようだ。多くのQRコード決済事業者が打ち出していたMPM方式向けの決済手数料無料施策が、2021年後半に期限を迎える予定であるためだ。

 主要なQRコード決済事業者の店舗向けWebサイトや資料などを見ると、決済手数料が無料である期間は2021年6~9月に終わるようだ。つまりサービスによっては間もなく決済手数料の徴収が始まることになる。決済手数料は2.45~3.25%(サービスによって異なる)とされており、手数料を敬遠してきた中小店舗にとって大きな負担となることは確かだろう。コロナ禍によって相次ぎ発令された緊急事態宣言などで人流が抑制され、顧客が減少している現状ではなおさらである。

多くのQRコード決済事業者は、MPM方式の決済手数料無料施策を実施していたが、期間を2021年後半までとするところが多かった。写真は2018年7月30日に実施された「LINE Pay QR/バーコード決済普及施策勉強会」より(筆者撮影)
多くのQRコード決済事業者は、MPM方式の決済手数料無料施策を実施していたが、期間を2021年後半までとするところが多かった。写真は2018年7月30日に実施された「LINE Pay QR/バーコード決済普及施策勉強会」より(筆者撮影)
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 そこで懸念されているのは、中小店舗が手数料無料の終了を機にキャッシュレス決済をやめる動きが加速してしまうことである。前述の通り、現在手数料が無料化されているのはMPM方式でQRコード決済を導入している店舗のみだ。大規模店で多く見られる、スマートフォンに表示させたQRコードを店舗側が読み取って決済するCPM(Consumer-Presented Mode)方式は、もともと決済手数料の支払いが必要である。そのためCPM方式を導入した店舗が減ることはないだろう。

 身近な中小店舗で利用できなくなるのであれば、ここまで消費者への浸透が進んできたキャッシュレス決済の機運が、再び停滞してしまう可能性も少なからず出てくる。とはいえ決済事業者も、決済手数料がビジネスの要の1つとなるだけに、いつまでも無料にしておくわけにはいかないだろう。

 それだけに決済手数料無料化の終了は、QRコード決済事業者、とりわけ中小店舗の開拓に積極的だった事業者にとって、今後の加入店舗獲得にも影響してくるため非常に悩ましいというのが正直なところではないだろうか。

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