深刻なアプリ不足、開発者の支持が欠かせない

 そうした高性能Androidタブレットの復活を受けて、グーグルもAndroidのタブレット対応を再び強化する動きを見せている。実際グーグルはタブレットや折り畳みスマートフォンなどの大画面デバイスに向け、より使いやすいインターフェースを備えたアップデート「Android 12L」を2022年3月に発表している。

 また今回のGoogle I/Oで発表されたAndroidの新バージョン「Android 13」では、より大画面デバイスに適したインターフェースを採用しマルチタスクが利用しやすくなるほか、大画面インターフェースに対応するようグーグル製アプリの更新を今後数週間のうちに進めるとしている。

 Pixel Tabletで自社製タブレットを復活させたというのも、やはりAndroidを提供するグーグル自身がタブレットを直接開発することにより、需要が再び高まったタブレットに向けてAndroidの機能や性能を強化・最適化したい狙いが大きいといえそうだ。

高性能Androidタブレットの需要復活に合わせて、Androidの大画面デバイス対応が進んでいる。グーグル製アプリも今後数週間のうちにAndroid 13の大画面インターフェースに対応できるアップデートが実施される予定とのこと
高性能Androidタブレットの需要復活に合わせて、Androidの大画面デバイス対応が進んでいる。グーグル製アプリも今後数週間のうちにAndroid 13の大画面インターフェースに対応できるアップデートが実施される予定とのこと
(出所:グーグル)
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 ただAndroidタブレットの利用を拡大する上では、課題も少なからずあり、その最たる例はアプリだ。先にも触れた通り、グーグルは長らくAndroidタブレットに力を入れていなかったことから、アプリは基本的にスマートフォンに最適化されており、Androidタブレットに最適化されたアプリが多くないという弱点がある。

 実際ビジネス・クリエーティブ用途などを中心として、米Apple(アップル)の「iPad OS」向けに提供されているアプリの多くはAndroid向けに提供されていない。タブレット向けアプリの充実度という面では、タブレットに継続的に力を入れてきたアップル製デバイスに大きな差をつけられているのが現状であり、Androidタブレットの本格需要回復にはアプリの充実が欠かせないだろう。

 そのためグーグルに今後求められるのは、タブレット向けアプリ開発者にビジネス面での明確なメリットを示し、再び支持を得てアプリを増やすことに尽きる。ようやく復活した高性能Androidタブレットの需要をより堅固なものにしていくためにも、アプリ開発者の取り込みは必要不可欠だと筆者は考える。

佐野 正弘(さの まさひろ)
フリーライター
福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手掛けた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手掛ける。

[日経クロステック 2022年5月23日掲載]情報は掲載時点のものです。

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