ローカル5Gを主体とした企業の5G活用が注目されつつある。中でも大きく変わろうとしているのが企業のIoT(Internet of Things)活用の在り方だ。従来スマートメーターやセンサーなど小容量通信が中心だった企業のIoT活用が、高速大容量通信が可能な5Gによってどのように変わろうとしているのか。また、それに対してローカル5Gの事業者はどのような形で応えようとしているのだろうか。
4.7GHz帯の割り当てで本格化したローカル5G
国内でもようやく都市部で利用できる場所が増えてきた5Gだが、5Gはスマートフォンなど個人向けよりも、製造業などのデジタル化に大きく貢献することから企業や自治体などの関心が高いと言われてきた。そうしたことから携帯電話事業者が全国に展開するパブリックの5Gだけでなく、それ以外の企業が場所を限定して5Gのネットワークを構築・運用できる「ローカル5G」の取り組みも加速しているようだ。
とりわけ2020年末に、4Gの設備が必要なく5G向けの機器のみで構成されたスタンドアローン運用ができる4.7GHz帯のローカル5G向け免許申請が開始したことで、ローカル5Gのビジネス活用はいよいよ本格化しようとしている。実際4.7GHz帯の免許割り当て前後から、富士通やNECなどが相次いで企業向けにローカル5Gサービスの提供を始めると発表した。
さらに2021年3月30日にはNTTコミュニケーションズも「ローカル5Gサービス」を打ち出して参入を表明。他にも固定系の通信事業者やシステムインテグレーター、さらにはデバイスメーカーに至るまで、非常に幅広い企業がローカル5Gのビジネスに力を入れる方針を示しており、参入企業は今後も増えていくと考えられる。
なぜそれだけ多くの企業がローカル5Gに力を入れようとしているのか。その理由はやはり、ローカル5Gを活用したソリューションを企業に包括的に提供することで、継続的な売り上げの獲得につなげられ手堅いビジネスが見込めることだろう。
実際FCNTや京セラなどローカル5Gへの参入を表明しているデバイスメーカーは、端末だけを提供するのではなく、それを軸としてネットワークの構築や保守、サービスを包括的に提供するソリューションビジネスに力を入れるとしている。デバイスだけではいずれ価格競争に巻き込まれるなど不安定要素が多いだけに、手堅いビジネスに注力したい様子を見て取ることができる。
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