後発の2陣営の動向が今後の競争を左右か

 そしてDiDi Foodの撤退によって、国内でのフードデリバリーに関連する主要な陣営はUber Eats、出前館、KDDIの出資を受けている「menu」、そしてWoltとDoorDashの連合の4つに絞られることとなる。そしてここ最近の動きを見れば、先行する2陣営が一層有利な立場に立ったことは確かだろう。

 実際Uber Eatsは楽天グループと強い連携を結んだことで楽天経済圏のユーザー獲得が見込めるようになり、さらなる規模拡大の余地が出てきた。また出前館は冒頭で触れた「Yahoo!マート by ASKUL」のように、実質的な親会社となったZホールディングスが事業強化に向け積極的に動いていることが強みに働いているといえよう。

 それだけに今後注目されるのは後発の2陣営の動きだ。とりわけドアダッシュに関しては、ウォルト・エンタープライゼスの買収取引が完了するのが2022年前半とされているが、国内で事業が重複しているWoltとDoorDashをどのように整理してしていくのかは引き続き注目されるところだ。

 ここ最近の両サービスの動向を見るに、DoorDashには積極的な動きがあまり見られない一方で、Woltはエリア拡大や、配達専用のいわゆるダークストアである「Wolt Market」の拡大を図ったり、法人向けの即時配送プラットフォーム「Wolt Drive」を開始したりするなど、事業拡大にかなり意欲的に動いている様子がうかがえる。そうしたことから日本においては買収される側ながら先行しているWoltのブランドを残す、あるいは両ブランドを併用していく可能性もあるかもしれない。

Woltではダークストアの「Wolt Market」を積極展開しており、2022年1月北海道函館市などに、2022年2月には広島県広島市などに新たなWolt Marketをオープンしている
Woltではダークストアの「Wolt Market」を積極展開しており、2022年1月北海道函館市などに、2022年2月には広島県広島市などに新たなWolt Marketをオープンしている
(出所:Wolt Japan)
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 一方menuに関する動向を見ると、やはり事業拡大に向け試行錯誤が続いている様子がうかがえる。例えばmenuでは、KDDIの有料オンラインサービス「auスマートパスプレミアム」会員に向け、menuのデリバリーを注文すると「Pontaポイント」を最大30%還元するというキャンペーンを2021年10月より展開しているのだが、これだけ大盤振る舞いのキャンペーンを現在も継続している様子をみるに、顧客獲得競争が厳しい状況にある様子を見て取ることができる。

 急速な再編でフードデリバリーサービスは一時に比べれば競争環境が落ち着きつつあるが、その一方でコロナ禍による“特需”も徐々に縮小しつつあり、4陣営が全て生き残れるかどうかを見極めるのはまだ難しい。それだけに、とりわけ後発の2つの陣営にとっては、厳しい生き残り競争がまだまだ続くことになりそうだ。

佐野 正弘(さの まさひろ)
フリーライター
福島県出身、東北工業大学卒。エンジニアとしてデジタルコンテンツの開発を手掛けた後、携帯電話・モバイル専門のライターに転身。現在では業界動向からカルチャーに至るまで、携帯電話に関連した幅広い分野の執筆を手掛ける。

[日経クロステック 2022年5月9日掲載]情報は掲載時点のものです。

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