日本撤退を打ち出すDiDi Food、親会社の事情も影響か
そしてもう1つ、大きな動きを見せたのが中国の滴滴出行(ディディ)の日本法人で、フードデリバリーサービス「DiDi Food」を展開しているDiDi Food Japanである。同社は、2022年5月25日をもって日本でのDiDi Foodにおける宅配フードサービスを終了させると2022年4月20日に発表したのだ。
DiDi Foodは2020年に関西でサービスを開始し、それ以降徐々にサービスエリアを広げてきたのだが、およそ2年という短い期間で日本から撤退するという判断に至ったようだ。なお今後は、滴滴出行とソフトバンクの合弁企業であるDiDiモビリティジャパンが展開しているタクシー配車サービス「DiDi」に注力していく方針を示している。
DiDi Foodが撤退に至った理由として、もちろんフードデリバリーを巡る競争の激化が挙げられるだろう。コロナ禍で需要が高まったとはいえ、新規参入が相次ぎ短期間のうちに急速に競争が激化したことにより、とりわけDiDi Foodのような後発の事業者にとって厳しい市場環境となってしまったのは確かだろう。
ただDiDi Foodに関して言うならば、親会社の動向も少なからず影響しているのではないかと考えられる。というのもここ最近中国政府は、同国のIT企業に対する規制強化の姿勢を急速に強めており、その影響を受けてか滴滴出行は、2021年6月に上場したばかりのニューヨーク証券取引所で上場を廃止するのではないかとの報道もいくつかあるようだ。
そうしたことから同社は中国外での事業拡大に向けた積極的な投資が難しい状況にあると見ることができよう。とりわけ急激に競争が厳しくなった日本市場で成長するには一層の投資が必要なだけに、環境変化でそれが難しくなったことが今回の撤退劇につながっている可能性は十分考えられるだろう。
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