法規制下の韓国で取り組みを拡大か

 一連の契約は、アプリ開発者だけでなく、世界各国の政府もグーグルとアップルによるアプリストアの寡占状態を問題視し、規制する動きが強まっていることを意識したものだといえる。実際両社は既に、行政側の判断を受けて複数の決済手段の導入に動かざるを得ない状況に至っているケースがある。

 それが韓国の事例である。韓国では2021年、アプリストア運営者がアプリ開発者に対し、アプリストア側が提供する決済システムの利用を義務付けることを禁止するよう法律が改正され、グーグルとアップルは自社以外の決済システムを導入する必要に迫られたのである。

 その結果、グーグルは2021年11月に韓国のGoogle Play利用者向けに、グーグル以外の決済システムを追加できる仕組みを提供すると発表している。それゆえ今回のスポティファイとの契約による決済システムの追加は、韓国で導入した仕組みを他の国でも展開する形になるものと考えられる。

アプリストア事業者が自社以外の決済システム導入を認めるよう韓国で法改正がなされたことを受け、グーグルは韓国で複数の決済システムを選択できる仕組みを導入している
アプリストア事業者が自社以外の決済システム導入を認めるよう韓国で法改正がなされたことを受け、グーグルは韓国で複数の決済システムを選択できる仕組みを導入している
(出所:グーグル)
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 ではなぜ、他国に展開する最初のサービスがSpotifyなのだろうか。グーグルの説明によると、Spotifyが幅広いデバイスに対応した世界最大規模のサブスクリプション型サービスであることを理由に挙げており、Spotifyでの取り組みから実際に選択制の決済システムがどのように使われるのかを見極めたい狙いがあるとしている。

 だがスポティファイは長年、アプリストアの決済手数料の高さに不満を訴えていた1社であり、そのことも今回の契約には影響したと考えられる。実際スポティファイは、グーグルに対してこそ直接的なアクションは起こしていないものの、アップルに対しては2019年に健全な競争を阻害しているとして欧州連合(EU)の欧州委員会に提訴。さらに「Time to Play Fair」というWebサイトを展開し、同社に抗議する姿勢を強めていた。

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