GPSとモバイル通信を用い、スマートタグより精度の高い位置取得が可能な小型のGPSトラッカーが、主に子供の見守り用途として人気を高めている。様々な新製品が投入され市場が広がりつつある一方、シンプルな機能だけに違いを出すのが難しいなど、課題がいくつかあるように感じる。ソフトバンク系であるBBソフトサービスの「+Style(プラススタイル) まもサーチ3」の発表内容から、現状や課題を検証していこう。
IoT向けLTEを活用し小型・低価格化を実現
米Apple(アップル)が「AirTag(エアタグ)」を投入したことで、大いに注目を集めたスマートタグ。主として鍵やかばんなどに付けておき、Bluetoothなどの無線通信を活用しスマートフォンと連携して、紛失などの防止に役立てられる。比較的安価ながらも位置が分かるため、利用シーンが広がり人気が高まっている。
だがスマートタグの多くは、近くにあるスマートフォンとBluetoothで通信した際に、個人情報に配慮した形でそのスマートフォンの位置情報から自身の位置を推定する仕組みだ。それゆえ対象となるスマートフォンを持つ人が多く存在していないと正確な位置情報を得るのは難しいし、スマートフォンを持つ人がいなければそもそも位置情報の取得自体ができない。
そうしたことからGPSとモバイル通信を活用し、デバイス単体でより正確な位置情報を取得できるGPSトラッカーには、スマートタグの代替として関心が高まりつつある。こうしたデバイスは自動車の盗難防止用などとして古くから提供されているが、以前はサイズも大きく毎月の通信料もあまり安くなかったことから企業での活用が主だった。
だが低速ながら消費電力が少なく長時間通信ができる「LTE-M」など、IoT向けのモバイル通信規格の利用が広まり小型化と料金の低廉化が進んだ。それゆえ最近では、子供の見守りなどを主な目的とした小型・低価格のGPSトラッカーが増えつつあるわけだ。
その背景にあるのはやはり、子供などが自分の知らない場所に行ってしまい犯罪やトラブルに巻き込まれることへの不安だろう。2023年2月9日にBBソフトサービスが開いたGPSトラッカーの新製品発表会において同社取締役執行役員 プラススタイル事業本部 本部長を務める近藤正充氏は、令和3年(2021年)の行方不明者はおよそ8万人に上り、中でも10〜20代と70代以上が多くを占めていると説明した。
それゆえ同社が新たに発売するGPSトラッカーである+Style まもサーチ3は、主として見守りニーズが高い小学生、そして行方不明者の中でも比率が高い高齢者を主なターゲットに製品を提供するとしている。
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