サブスクリプションへの移行で気になる将来的な値上げ
ただ完全なサブスクリプション型のサービスに移行したことで、ユーザー目線からすると懸念されるのは将来的な料金の値上げである。実際ここ最近、大手映像配信系サブスクリプション型サービスの値上げが相次いでいる。中でもスポーツ動画配信の「DAZN(ダゾーン)」が2022年2月22日より月額料金を1925円から3000円へと大幅に値上げすると発表したことには、利用者から多くの不満の声が上がっているようだ。
各サービスが値上げをする背景には、サービスの認知が進んだことで従来のように大幅に契約数を伸ばすことが難しくなっている一方、常に新しいコンテンツの制作・調達が求められるのでコストが増え続けるという、サブスクリプション型ならではのビジネスモデルが影響しているとみられる。それだけに完全なサブスクリプション型に移行したAudibleも今後、同様の問題に直面する可能性が少なからず出てきたといえるだろう。
逢阪氏は「オーディオブックコンテンツは盛り上がってきているが、まだまだ認知が低いと思っている。まだ伸び代があるし、より身近なものとして体験してもらえるサービスを提供したい」とし、現在は値上げなどを検討する段階ではないとしている。1500円という月額料金を維持して完全聴き放題に移行したというのも、より多くの人に利用してもらうためにこだわったポイントだという。
ただ本格的なサブスクリプションに移行した後のビジネスを考慮すれば、他のサブスクリプション型サービスと同様の問題に直面することは確かだろう。国内におけるオーディオコンテンツの存在感を考慮すればその時期はまだ先なのだろうが、いずれユーザーの反発を抑えながら納得感のある料金を提示できるかという、難しい課題に向き合う必要が出てくるのではないだろうか。
フリーライター
[日経クロステック 2022年2月7日掲載]情報は掲載時点のものです。

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