ウニも海外に買い負ける?

 たかが、ウニ。されど、ウニ。1ヘクタール当たりの藻場が生態系に与える価値は1万9000ドルとされ、熱帯雨林の同2000ドルよりも高い。森林以上にCO2を吸収する役割は大きいと期待されており、ウニを取り除いて藻場を維持し、環境を保護するメリットは小さくない。それだけではない。痩せたウニを育て、食材にすることは経済的、社会的なメリットもある。

 近年、日本食の人気が世界に広まったことで、海外の国々とウニの取り合いが起こっている。2021年3月時点での1キログラム当たりの平均卸売価格は2万円を突破し、輸入・国産ウニの単価は上昇傾向にある。

 一方、磯焼けや漁師の高齢化などもあり日本のウニの漁獲量は減少傾向にあり、輸入で代替するケースもある。農林水産省のデータによれば21年1~3月のウニの輸入額は34億円にのぼり、国内消費のうち輸入と国内産はほぼ半々だ。

 「マグロのように、ウニでも日本が買い負けることも考えられる」と、ウニノミクスで日本事業を推進する山本雄万氏。自国内でおいしいウニを生産できれば、国内消費を担うだけではなく輸出するチャンスにもなる。

蓄養の完了したウニは飲食店などへ販売される
蓄養の完了したウニは飲食店などへ販売される

 ウニノミクスは大分県国東市の漁業者と19年3月に世界初のウニの蓄養会社の大分うにファームを設立し、同工場の年間の生産量は18万トンを見込む。県内の温泉旅館や飲食店への販売を見込み、今後は九州や首都圏、ウニの消費量が伸びる中国への輸出も視野に入る。石田氏は「ビジネスチャンスとしてはもちろんだが、循環型のシステムを構築できる」と話す。

 海水温の上昇や異常気象など、環境問題の解決は喫緊の課題でもあり、世界的な食糧不足の問題にもつながる。農業や漁業に携わる人を巻き込みながら、新たなテクノロジーで課題を解決し、循環型のシステムをつくり上げる。資源が必ずしも豊富ではない日本だからこそ、そんな「三方よし」のモデルを生むチャンスが眠っているのかもしれない。

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