バイオジェット燃料の光明となりえる技術がある。バイオスタートアップのグリーン・アース・インスティテュート(GEI、東京・文京)の発酵技術だ。従来化石燃料で作っていた化学品を、植物など非可食のもので作れるようにする。

 1989年公開の米映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」の2作目では、タイムマシンとなる車「デロリアン」はごみを燃料にタイムトラベルしていたが、GEIはこのほど、日本航空(JAL)と共同で古着をジェット燃料に変換する技術を確立。食糧不足や穀物価格高騰が取り沙汰される中、“食べられない原料”の活用が、次世代のエネルギー問題を担う可能性がある。

JALと開発したバイオジェット燃料で飛行機が飛んだ
 

 関東地方に春一番が吹いた2月上旬、GEIの伊原智人CEO(最高経営責任者)らの姿は羽田空港にあった。羽田-福岡の定期便「JL319」に地上から手を振るJALの地上スタッフ。いつもと様子が違ったのは、国産初のバイオジェット燃料を積んでいたからだ。それも材料は、古着約25万着だ。

 プロジェクトを率いたのはJALとGEI、日本環境設計、地球環境産業技術研究機構(RITE)の4社だが、回収した古着の糖化や濃縮、脱水など様々なプロセスを経てバイオジェット燃料の生産を実現するのには10社・団体余りが協力。

 「今、広島上空です。無事に飛行を続けており、感無量です」。出光興産OBで今回のプロジェクトの中心となったGEIの冨山俊男マネージャーは大阪や広島など協力企業の上空を通るたびに機内からメッセージを送り、喜びをかみしめた。

 国際航空運送協会(IATA)は2050年までに航空業界のCO2排出量を半減させる(2005年対比)ことを目標に定めている。KLMオランダ航空やユナイテッド航空などがバイオジェット燃料を利用しているほか、ノルウェーのオスロ空港ではバイオジェット燃料の供給を始めている。

 だが、大豆やパーム油など食料を原料としたバイオジェット燃料に逆風が吹いている。世界的に人口が増え食糧問題が懸念される中で、食べられるものを燃料に転換することへの批判が出ているためだ。

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