画一的な人材活用からの脱却を図る企業に焦点を当てる本連載。前回は、重工業大手のIHIが社外兼業を容認してキャリアの選択肢を広げた理由に迫った(「週20時間以上勤務すればOK」、IHIが兼業を容認する理由)。では、自立し、環境の変化にも強い人材を生かせる会社になるためには何が必要なのか。人事評価制度を刷新して風土を変えようと動き出したのが花王だ。

 米インテルが開発し、米グーグルや米フェイスブックなどが導入したことで知られる新しい目標管理手法「OKR(Objectives and Key Results、目標と主な結果)」。60~70%程度は達成できるかもしれないという高い目標を掲げた上で、その目標に関連する定量的な指標を見ながら業務に取り組んでもらう手法だ。KPI(重要業績評価指標)のように達成度を評価するのではなく、目標の達成に向けてどのように取り組んだか、プロセスを評価するのが特徴だ。

 このOKRを導入して社員に自立を促そうとする企業の1社が家庭用品国内最大手の花王だ。2021年1月に人事評価制度を刷新。その目玉がOKRの導入だった。国内ではメルカリなどの若い企業がOKRの導入で先行してきたが、歴史のある大企業にもその動きが波及し始めた。

 花王はもともと、KPIに基づく目標管理制度で社員を評価してきた。全社の戦略の下、それぞれの社員が100%の達成を目指す目標に落とし込み、その目標をどれだけ達成できたかで評価する方式だ。この制度の下でも花王は成長してきた。

 だが、社会の目まぐるしい変化に揺さぶられているのは花王も例外ではない。ESG(環境・社会・企業統治)を重視する近年の風潮が環境保全に向けたさらなる対応を迫る。少子高齢化とそれに伴う人口減少時代を見据えて新市場開拓を進めなければならないとの課題もある。

「閉塞感もあったのでは」

 「社員活力の最大化」。21年1月1日付で就任した長谷部佳宏社長は、20年12月にスタートした中期経営計画の柱の1つに人材戦略を挙げ、挑戦と貢献度に応じたフェアな報酬を実現するためにOKRを導入すると宣言した。

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